(地獄耳)「無関心ではなく声上げろ」日本への苦言か - 日刊スポーツ(2018年12月13日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812130000203.html
http://archive.today/2018.12.13-022635/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812130000203.html

★日本の外相は会見で記者からの日露関係の質問に「次の質問どうぞ」と4回にわたり無視するが、国際政治は口をつぐんだところで好転などしない。表向きの態度よりも水面下で行われる外交交渉がタフであるかが問われる。国民からすれば「次の外務大臣どうぞ」という気持ちだ。トランプ米大統領の言動や振る舞いなどが記されたワシントン・ポスト副編集長、ボブ・ウッドワードの「FEAR」訳書名「恐怖の男」(日本経済新聞出版)には感情的で気まぐれで予想のつかない米大統領の言動に世界が翻弄(ほんろう)されているさまが描かれている。

★その意思決定のプロセスに側近たちは翻弄されるが、金銭的損得でものを判断しようとする大統領に数少ない側近幹部、マティス国防長官がたしなめる箇所がある。「第3次世界大戦を防ぐために我々はやっている」。外交の展開が読めずに国民に話すことのできない外相など必要ない。そのために各国首脳は自国の国益とともに世界の平和を維持するために日々、場合によっては自ら足を運ぶ。今回のG20はアルゼンチンで開かれたが、世界の首脳がはせ参じるのはそのためだ。

★そのトランプだが、16年の米大統領選でのロシア関与疑惑を捜査する前FBI長官ジェームズ・コミーが米下院司法委員会の公聴会で証言した。「司法省やFBI、情報機関は国家の安全保障に不可欠なものだ。これを政治的な理由から中傷することは、国家安全保障を損なう。大統領がウソをついたり、法の支配を攻撃したりしていることに対し、全ての人々の感覚が一定程度、まひしてきている。あるべきことではない。無関心でいるのではなく、皆が声を上げていかなければならない。黙っていれば、それを恥じる時がやってくる」。一瞬、我が国への苦言かと思った。(K)※敬称略