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衆院沖縄3区の補欠選挙で初当選したフリージャーナリストの屋良朝博さん(56)は一夜明けた22日、辺野古を巡る硬直化した議論を解きほぐしたい、と国会活動に強い意欲を示した。
選挙戦では、玉城デニー知事の後継者として、県民投票の結果を踏まえ、新基地建設反対を前面に掲げた。
「辺野古は解決策にならない。別のアプローチを考えるほうが現実的だ」
反対を主張するだけにとどまらず、選択肢を示すことで、具体的に政治を動かしていく。その発想が屋良さんの持ち味だ。
この考えは、対話による解決を求める玉城デニー知事とも共通する。
玉城知事は言う。
「県と政府の対立という言葉があるが、私たちが申し入れているのは対話であって、対立を持ち込んでいるわけではない」。見逃しがちだが、ことの本質を突いた重要な指摘だ。
キャンプ・シュワブのゲート前で、反対派の市民に当選報告をした屋良さんは「当たり前の政治、当たり前の民主主義を」と訴えた。
「当たり前の政治」とは「対話による解決」ということだろう。
工事を強行する政府と、話し合いによる解決を求める県。数の力で押し切ろうとする政府と、埋め立てによらない解決を求める県。
この違いを説得力のある言葉で発信し、県の主張を内外にもっとアピールする必要がある。何よりもスピード感をもって当たることが重要だ。■ ■
安倍晋三首相は、移設反対派が勝利したことを受け、「一日も早い普天間飛行場の全面返還を目指したい」と述べた。
菅義偉官房長官も「辺野古が唯一だという考え方には変わりがない」と、移設方針に変更はないと明言した。
お決まりの「ワンフレーズ・ポリティクス」である。キャッチフレーズのような言い回しは、現実から遊離し、思考停止を表す言葉になりつつある。
軟弱地盤の改良で工事の長期化が避けられなくなった。工期さえはっきりしないのに、枕ことばのように「一日も早い」全面返還と言う。
本心からそれを望むのなら米側と交渉し、早急に代替案を検討すべきである。
県民投票や相次ぐ選挙で辺野古埋め立て「反対」の民意が示されてもなお、政府は「辺野古が唯一」だと言い募る。民主的な意思表示を無視した強権政治というしかない。■ ■
県は6月、外部有識者による「万国津梁会議」を設置し、基地負担軽減について専門家の意見を聴取する。玉城知事の言う「話し合いによる解決」の具体的な一歩だ。
政府が司法決着にこだわるのは、県との主張の隔たりが大きく話し合いによる解決が困難だと考えているからである。
政府をどのように話し合いのテーブルにつかせるのか。議論を通して沖縄側は何を目指すのか。リスクがあるのは確かだが、状況を変えていく取り組みなしに事態を前に進めることはできない。