https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/346355
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玉城デニー知事が就任後初の訪米から帰国した。知事選で示された新基地建設反対の民意を米国市民に伝え、対話による解決を米政府に呼びかけるのが目的だった。
知事就任からおよそ1カ月半、玉城氏は異例の早さで走り続けた。
日本記者クラブや外国特派員協会で会見し、ハガティ駐日米大使に会い、米国では、ニューヨーク大で県系人や米国市民を相手に講演し、ラジオ番組に出演した。
国務次官補代理や国防総省の日本部長代行との会談では、日米政府と沖縄県による3者協議の場を設置するよう要望した。
玉城知事が強調する対話路線を支持したい。だが、単なる対話だけでは解決が難しいことも明らかである。
米側の担当者は玉城知事に対し、「辺野古が唯一の解決策」だと強調した。
国務省は面談後にあえて声明を発表し、「普天間代替施設の建設に対する米国の合意は揺るぎないことを重ねて示した」と念を押した。
政府と県は現在、副知事と官房副長官による集中協議を重ねているが、その一方で政府は土砂投入に向けた準備を着々と進めている。
県民に寄り添うと言いなががら、県民感情を逆なでするようなことを平然とやってのける。そんな政権に態度変更を迫るのは容易なことではない。米中関係が悪化しているだけになおさらだ。
単なる対話だけでは、立ちはだかる大きな壁を動かすことはできない。壁を動かすには大きな力が必要だ。■ ■
どうすれば大きな力が得られるか。玉城氏の知事就任後、この1カ月半の間に浮上した動きに注目したい。
民意をないがしろにした政府のやり方に対しては、県内外で、政治的立場を超えて疑問や批判が広がっている。
どうやったら沖縄の声を届けることができるか−こうした県民の思いは知事選後も絶えることがない。
玉城知事の明るさや、これまでの知事に見られない柔軟さ、住民目線、多様性を体現したような生い立ちは、国内外で好意的に受け止められている。
「てこの原理」を活用することによって、こうした動きを大きな力に変えることができるのではないか。
それが県民投票である。
県民投票には法的拘束力がない。政府は「県民投票の結果に拘束されない」と言い続けている。中途半端な対応で実施すると、その効果は半減する。■ ■
県民投票に対しては依然として否定的な自治体がある。どう理解を求めるか。
県民投票への注目度を高めるためには、玉城知事がある時点で「結果に従う」ことを明確にする必要がある。
仮に、県民投票で辺野古移設「賛成」が過半数を占めると、知事選と住民投票の民意がねじれることになる。それをどう考えるか。
選挙疲れが残っていて、県民投票に対する関心は決して
高いとは言えないが、現状打開の大きな力になる要素を秘めていることは確かだ。