https://www.hokkaido-np.co.jp/article/298997
http://archive.today/2019.04.23-001135/https://www.hokkaido-np.co.jp/article/298997
日本人は、「三」という数が好きなのだろうか。三大夜景、三本勝負、三種の神器、万歳三唱。「維新の三傑」は、西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允(たかよし)。平安時代の名筆家、小野道風、藤原佐理(すけまさ)、藤原行成(ゆきなり)は「三蹟(せき)」と言う。
ことわざにも「三」は多い。「早起きは三文の徳」「石の上にも三年」―。さて、安倍晋三政権にとっては「二度あることは三度ある」か。
米軍普天間飛行場の移設計画が争点となった衆院沖縄3区補選で、移設容認を掲げた自民党候補が敗れた。昨年9月の県知事選、今年2月の県民投票に続く、三度目の「移設ノー」の民意だ。
これまで、安倍政権は知事選後の12月に名護市辺野古沿岸の埋め立てに着手した。そして、県民投票後も工事を中止せずに、新たな区域への土砂投入を強行した。「沖縄に寄り添う」と言ってきたにもかかわらずである。
「三度目の正直」だ。まずは工事を中止して民意と向き合い、改めて話し合いで解決する道を模索するのが筋だろう。しかし、菅義偉官房長官は「丁寧に説明させていただきながら、辺野古の埋め立てを進める」と、立ち止まろうとする姿勢は全く見られない。
「寄り添う」「真摯(しんし)に」「丁寧に」―。「舌先三寸」の政権の言葉は、どれも辞書の意味とはかけ離れている。気付いている有権者も少なくないはずだ。7月には参院選が控える。「仏の顔も三度」という言葉もある。2019・4・23