地域の議員選び 「白紙委任」はやめよう - 東京新聞(2019年3月29日)

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自分たちが暮らす自治体のことは自分たちが決める。当たり前のことを貫くには地域の議会に無関心ではいられない。「白紙委任」にならぬよう、候補者の主張に耳を傾け、貴重な一票を投じたい。
統一地方選の前半戦。四十一の道府県と十七の政令指定都市の議会議員選挙がきょう告示される。すでに告示された十一の道府県知事選、六つの政令市長選と合わせて四月七日に投開票が行われる。
自治体が無駄な予算を使ったり、平穏な暮らしを脅かす政策を強行するとき、止めるのは住民代表たる議会の役割だ。監視機能が働かなければ自治体は放漫財政に陥り、暮らしづらくなる。不利益をこうむるのは住民自身だ。
自らの役目を自任する議員だけが選ばれているはずだが、そうなっていないのが実態だ。聞こえてくるのは政務活動費の不正受給や議場などでの暴言、無駄な海外視察など不祥事ばかりである。
議員や議会に責任があるのは当然としても、私たちも無関係ではいられない。そうした議員を選んだのは私たち自身だからだ。
自治体の議会選挙は、私たちの暮らしに直結する身近な選挙にもかかわらず、あまり関心を持たれていないのが実態だ。
一九四七年の第一回統一地方選で、都道府県議選の投票率は81・65%だが、四年前の前回は45・05%。政令市議選の投票率も前回、44・28%にまで落ち込んだ。
棄権は白紙委任に等しい。公職選挙法の改正で今月から国政選挙や首長選だけでなく、都道府県議選や市区議選でも選挙ビラが配れるようになった。せっかくの機会だ。多少面倒でも各候補の主張を吟味し、投票所に足を運びたい。
議員のなり手不足や無投票当選の増加も大きな問題だ。過疎化や少子高齢化、人手不足、公共施設の老朽化など、地域の課題を一つ一つ解決するには、地域の知恵を結集することが必要で、そのためには多様な層が地域の意思決定に参加することが前提である。
しかし、実際には誰もが簡単に選挙に出られるわけではない。立候補を阻む障壁があるのなら、夜間や休日に議会を開くなどの工夫で乗り越えるか、立候補しやすいように思い切って制度や社会の意識を変えることも必要だ。
投票しても変わらない、と白紙委任を決め込むのは早計である。自分の住む自治体や議会に関心を持ち、自分たちの選んだ代表を送り込む。一票の積み重ねが、地域を変える大きな力になるはずだ。