[新基地反対県民大会]沖縄は合意していない - 沖縄タイムス(2019年3月17日)

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辺野古の新基地建設断念を求める「3・16県民大会」(オール沖縄会議主催)が那覇市新都心公園で開かれた。強い日差しが照り付ける中、テーマカラーの「辺野古ブルー」に合わせ、青色の帽子や服を身に着けた多くの人たちが集まった。
新基地の是非を問う県民投票で、投票総数の7割を超える43万4273人が「反対」の民意を示した。にもかかわらず、政府は投票結果を一切顧みず、翌日から埋め立て工事を続行した。
岩屋毅防衛相に至っては国会で、結果にかかわらず工事を進めることを県民投票の前に決めていた、と答弁した。県民を愚(ぐ)弄(ろう)することを平気で言ってのけたのである。
本来なら安倍晋三首相はそのような発言をする防衛相を罷免すべきであるが、首相自身が事前に了解していたことも明らかになった。沖縄を除く46都道府県で、こんなにも民意が無視されたことがかつてあっただろうか。
政府は今月25日には新たな区域で土砂投入すると通告している。そんな中での県民大会である。参加者は「土砂投入をやめろ!」「民意は示された!」と書かれたメッセージボードを掲げ、沖縄の民意を押しつぶそうとする政府の姿勢を批判した。
県民投票の結果と工事の長期化が明らかになったことによって、辺野古問題はこれまでとまったく異なる段階に入った。
民主主義をまっとうな軌道に戻すための取り組みを全国に押し広げるべきである。

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米軍普天間飛行場の一日も早い危険性除去のために新基地を建設するという政府の論理は破綻している。
大浦湾に広がる軟弱地盤の改良に政府は3年8カ月かかることを認めた。当初、運用までに8年としていたが、最短でも11年8カ月かかる。軟弱地盤の水深は最大90メートルで過去に例のない工事となる。想定通りに進む保証はない。
砂杭(すなぐい)は約7万7千本と膨大で、砂は県内の砂利採取量の3~5年分に相当する。県外から調達しなければならないが、外来種の侵入などで環境への影響が懸念される。
これらは元知事の埋め立て承認後に判明した事実である。環境アセスメントを一からやり直すべきである。
建設予定地周辺には辺野古断層と楚久断層が存在すると複数の専門家が指摘している。地震を引き起こす恐れもある。滑走路などの損壊、弾薬庫が爆発すれば周辺住民に大きな被害が及びかねない。

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辺野古・大浦湾には5千種をゆうに超える生物が確認され、うち262種は絶滅危惧種だ。ジュゴン2頭が行方不明になっている。生物多様性に富んだ貴重な自然環境が失われようとしている。
最終的な工期も総事業費もまったく見通せず、結局のところ、普天間返還の時期も不透明なのである。
玉城デニー知事は日米両政府に県を加えた3者協議の設置を求めている。政府は否定的だが、それすらできないようなら安倍政権は現状打開の当事者能力を欠いている。主権者が打開する以外にない。