(政界地獄耳)今国会で政権は何を目指したか - 日刊スポーツ(2018年12月6日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812060000162.html
http://archive.today/2018.12.06-010707/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812060000162.html

★10日に会期末を迎える国会は間もなく閉会する。自民党総裁選挙で圧勝の3選を果たし、向かうところ敵なしといった安倍政権だが第4次安倍改造内閣を発足させ、憲法改正への強い意欲を示し、側近の下村博文憲法改正推進本部長に据えたものの、今国会では野党はその誘い水に乗らず、連立を組む公明党も来夏の参院選を前に憲法改正が争点になってはたまらんと笛吹けど踊らず、当然自民党内もその機運は高まっていない。4日、参院憲法審査会は継続審議中の国民投票法改正案の来年以降への先送りが決まった。

★つまり憲法問題は来夏の参院選が終わるまで塩漬けが決まったといっていい。では10月24日からの48日間、今国会で政権は何を目指したのか。所信表明で首相・安倍晋三は「次の3年、国民と共に新しい国創りに挑戦する。挑戦者としての気迫は、いささかも変わらない」としたものの、既に憲法改正は出ばなをくじかれ、「今こそ、戦後日本外交の総決算を行う」といいながらロシアが1956年の日ソ共同宣言を認めるのならば2島は無条件で返還されると思い込み、北方領土4島のうち2島を捨てるという失策をやらかした。一方、トランプ政権には武器を大量に買うことで機嫌を取る。少なくとも外交に一貫性があるとはいえず、国会では自身のずさんな政治資金処理を巡り地方創生相・片山さつきや五輪相・桜田義孝の答弁能力ばかりが話題になった。

★結果、この国会で可決したのはさして審議もせずに通った水道民営化と入管法改正。野党も本気でつぶしにはかからなかった。国民生活に直結するテーマに自民党も野党も緊張感をもってあたらないのは、どうせ強行採決で可決するというあきらめがあるのだろうか。フランスの黄色いベストは日本にはなじまないか。(K)※敬称略