<性教育をかんがえる> (下)絵本で「赤ちゃんどこから?」 - 東京新聞(2018年11月23日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201811/CK2018112302000190.html
https://megalodon.jp/2018-1123-0942-45/www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201811/CK2018112302000190.html

若い世代の予期しない、望まない妊娠の背景にある小中学校の性教育の問題を、二十日掲載の「性教育をかんがえる」(上)で紹介した。一方、家庭の性教育はどうか。保護者が恥ずかしくて切り出せなかったり、子どもの質問に答えられなかったりすることも。子どもと性の話をしたい時、役立つのが性をテーマにした絵本や本だ。分かりやすい文章、イラストが理解を助けてくれ、長く読み継がれている。 (小形佳奈)
「ぼく(わたし)はどこから生まれたの?」という疑問にずばり答えるのが「ぼくのはなし」(童心社 千四百四円)。「かあさんのおなかのした(中略)バギナとよばれるあなから」生まれたこと、「とうさんのペニスをかあさんのバギナにいれ」、精子卵子にたどりつく受精の仕組みなどを「王さまシリーズ」の絵本作家和歌山静子さん(78)の絵で説明する。
性教育研究者の故山本直英さんが監修。水着で隠れる「プライベートゾーン」の重要性を説く「わたしのはなし」(同)、人が助け合い、愛し合う理由を説く「ふたりのはなし」(同)の三部作で、これまでに計十七万部余りを発行した。
一九九二年の初版当時に編集を担当していた同社販売部の堀内健二さん(61)は「分かりやすい文章とイラストで、子どもたちの素朴な疑問に専門的な見地を交えて答えてくれる。幼児から教えることが大事だと和歌山さんが自ら企画を持ち込んだ」と振り返る。興味を持つ時期は子どもによって異なる。堀内さんは「まずは保護者だけで読んでもらい、どのタイミングで伝えるか考えて」と話す。

とにかくさけんでにげるんだ わるい人から身をまもる本 (いのちのえほん)

とにかくさけんでにげるんだ わるい人から身をまもる本 (いのちのえほん)

公園で知らない人に声をかけられたら? 親戚に「服を脱ぐ」ゲームを強要されたら? 「とにかくさけんでにげるんだ」(岩崎書店 千四百四円)=写真=は、誘拐や性被害から身を守る方法を教える絵本。九九年の発刊以来、十二万部を売り上げた。「入園、入学シーズンに引き合いが増える」(同書店)
小学校中学年以上に、第二次性徴をイラストなどで解説する「男の子のからだの絵本」「女の子のからだの絵本」(アーニ出版 各千六百二十円)も、発刊から十八年を過ぎても版を重ねる。本文を手がけた同出版共同代表の北沢杏子さん(89)は六九年に同社を設立。性教育に関する書籍の出版、教材製作に約五十年携わってきた。
「親と先生のためのQ&Aシリーズ」(各千四百四円)は、命の誕生や性被害防止、妊娠などに関する子どもの質問や悩みへの回答集。小学生以下、十代、知的障害児の三巻シリーズで、知的障害児の巻は「知的ハンディを持つ子の異性への関心、避妊などに関する疑問に答える書籍はほとんどない。シリーズの中でも特に好評」という。
北沢さんは「二〇〇〇年代前半からの性教育バッシングに押され、教科書出版社は萎縮、教員も指導に自信がない」と性教育の現状を語る。「子どもの最善の利益や、虐待や搾取から保護される権利を守るためにも、いざというとき『ノー』と言うこと、逃げることなどをしっかり教えていかなくては。絵本や本がその助けになる」と訴える。