辺野古移設 強引手法に沖縄から激しい憤り 承認撤回停止 - 毎日新聞(2018年10月30日)

https://mainichi.jp/articles/20181031/k00/00m/040/082000c
http://archive.today/2018.10.30-222810/https://mainichi.jp/articles/20181031/k00/00m/040/082000c


「ノー」の民意が示された沖縄県知事選から1カ月

米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画に圧倒的な「ノー」の民意が示された沖縄県知事選からちょうど1カ月。県による辺野古沿岸部の埋め立て承認撤回の効力は30日、国土交通相によってストップをかけられた。移設反対の声に向き合おうとせず、埋め立て工事を強引に前に進めようとする政府に対し、沖縄から激しい憤りの声が上がった。
移設工事が早期に再開される見通しとなった辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前。市民約50人が抗議のシュプレヒコールを繰り返し、宜野湾市の桃原(とうばる)功市議は「怒りしかわいてこない。県内各地で米軍機の事故は相次いでおり、辺野古に基地を移しても事態は何も変わらないと県民は知っている。普天間辺野古かと二者択一で迫るのはおかしい」と声を震わせた。
沖縄県では辺野古移設の賛否を問う県民投票条例が26日に県議会で成立したばかり。約9万人分の有効署名を集めて実施を求めた「『辺野古』県民投票の会」は、来年4月末までに実施される県民投票の結果が出るまで移設工事を中止するよう政府に訴えてきた。
元山仁士郎代表(26)は「なぜ『唯一の解決策が辺野古』なのか、政府は知事選後、改めて県民に説明して理解を得ようともしないまま、県民投票を待たずに工事を進めようとしている。もっとほかにすべきことがあるはずだ」と憤った。
かつて県建設業協会長を務め、現在は保守の立場から玉城デニー知事を支援する建設会社会長の照屋義実さん(70)は「知事選で政権側候補は『対立から対話へ』と繰り返していたが、やはりポーズにしかすぎなかったことが明らかになった」と政府を切り捨てた。
8月に急逝した翁長雄志(おなが・たけし)知事時代には、県は政府との法廷闘争で相次いで敗れた。だが、照屋さんは9月の知事選で玉城知事が勝利したことでより強固な「移設ノー」の民意が示されたとし、「県民は勝利をあきらめていない。今後は国民の関心がいかに高まるかが闘いの行方の鍵を握る」と強調した。
一方、知事選で政権側候補を支援した那覇市の会社員、嘉陽宗一郎さん(24)は「移設反対を掲げる玉城知事が今後どういう行動を起こすか注目している。政治はスローガンだけでなく結果が求められる」と冷静に受け止めた。一方でこうも付け加えた。「政府は『県民に寄り添う』と言ったのだから、もう少し話し合うプロセスを取ってほしかった」【比嘉洋、遠藤孝康】