会談5日後に対抗措置 政権、辺野古で民意より対米優先 - 東京新聞(2018年10月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201810/CK2018101802000148.html
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安倍政権は十七日、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設に伴う新基地建設を巡り、名護市辺野古(へのこ)の埋め立て承認を撤回した県に対し、法的な対抗措置を取った。安倍晋三首相が、新基地反対を訴えて就任した玉城(たまき)デニー知事と初めて会談してから、わずか五日後に、対話ムードを一変させた。早期に手を打った背景には、日米間の合意を履行する姿勢を示すだけでなく、来年の統一地方選参院選への悪影響を抑える狙いがあるとみられる。 (島袋良太)
菅義偉(すがよしひで)官房長官は十七日の記者会見で、玉城氏が政府に新基地建設問題に関する対話を求めていたことを問われ「知事には政府の考えは変わらないと伝えてある」と説明。対話によって政府が移設計画を変える考えはないことを強調した。
玉城氏は九月三十日の知事選で、政権が支援した候補を大差で破って初当選。選挙結果を「真摯(しんし)に受け止める」と語った首相と菅氏は十二日、就任九日目の玉城氏と官邸で会った。
首相らは沖縄振興などでは協力する姿勢を示しながら、新基地建設を進める方針を通告。玉城氏は米国を含めた協議の場を設けるよう求めたが、首相らは具体的な回答をしないまま対抗措置に打って出た。
知事選で新基地反対の民意が示されたのに、安倍政権が姿勢を変えないのは、米国との合意を優先しているからだ。
首相は昨年二月、トランプ米大統領との初の首脳会談で計画通り建設する方針を確認。同年八月の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同発表も「可能な限り早期の完了」を目指すとした。首相は今年一月の施政方針演説で「米国との信頼関係」を挙げ、新基地建設に意欲を示した。
しかし、新基地建設に対しては、知事選後に行われた共同通信の全国世論調査でも「支持しない」との声が過半数を占める。
今回の対抗措置で、自民党に対する世論の反発が強まることは避けられない。安倍政権には、来春の統一地方選、夏の参院選をにらみ、強硬手段は早く済ませ、選挙までの期間を可能な限り長く取ることで、世論の反発を弱めたい思惑があるとみられる。