異例、安倍首相のスピード会談の狙いは? 沖縄・玉城知事と30分【深掘り】 - (2018年10月13日)

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玉城デニー沖縄知事が就任からわずか9日目にして安倍晋三首相と会談した。翁長雄志前知事は、政府高官に会うのに就任から約4カ月を要するなど首相が政権に批判的な立場の首長と就任直後に会談するのは異例。辺野古新基地建設へのスタンスを巡っては県と国は平行線をたどるが、沖縄に配慮する姿勢を全国に示すことで、来年の統一地方選参院選への影響を抑える狙いがあるとみられる。(東京報道部・上地一姫、大城大輔、政経部・銘苅一哲、大野亨恭)

知事と首相の会談は当初15分の想定だったが30分に延びた。その後、衆院議員時代に活動をともにし知事選で支援を受けた国政野党を訪ねた玉城知事は、首相の言葉として「元々自民党にいた翁長前知事が向こう側にいったという意味では、非常にもやもやがあった。(玉城知事は)最初から立場は違うが穏健に国会活動していた」と伝えられたと紹介し、今後の対話に自信をみせた。
だが「首相が面会を急いだのは、国内世論を意識した結果だ」。自民党幹部は、玉城氏就任の翌週という「スピード会談」実現の背景をこう解説した。安倍首相は24日召集の臨時国会改憲論議の加速を目指す。悲願の憲法改正を実現するためには、安定した支持率が欠かせない。
政府が全面支援をした候補を玉城知事が破ったことで、水面下で支援した野党は安倍政権の姿勢を追及しようと手ぐすねをひく。政府関係者は「一度会えば、野党に痛くもないことをつつかれることはなくなる」と説明する。
また基地問題は「沖縄の問題」と矮小(わいしょう)化し、本土への飛び火を押さえ込めば「大勢に影響することはない」(党関係者)との見方だ。幹部の一人は「まずは対話する姿勢を見せておけば本土に『同情論』は広がらない。きょうの面会は4年前の反省を踏まえ、大成功だ」と胸をはった。別の関係者も「知事選で沖縄への関心は薄れた。基地問題も振興策も政府が沖縄のためと思うことをやるまで」と説いた。政府高官は今後の対談について「しばらくない」と話す。
対抗措置の時期
対話の場は持てたが辺野古では互いの立場を主張し合うにとどまった。防衛省幹部は「こうなるしかない。必要なのは普天間をどうするかという解だ。民意も重要なファクターだが、それだけでは決められない」と話した。一方、県幹部は「前県政で撤回に踏み切ったので、ボールは政府にある」と述べ、撤回に対する執行停止など法的な対抗措置のタイミングを気に掛ける。県庁内では14日の豊見城市長選や21日の那覇市長選までは対抗措置を見送るとの見方がある。県首脳も「那覇市長選までは動けないだろう。ただ、時期が遅れるほど、執行停止の要件となる緊急性の根拠は薄れる」と指摘した。
玉城知事は自由党小沢一郎代表に「私たちの船出は始まったばかり。代表、まだまだ引退できませんよ」と水を向け、共産党では「将来の政権交代を目指す歩みに、微力だが加わることができれば」と野党共闘を後押しする考えを表明した。志位和夫共産党委員長は「政権交代できたら沖縄問題はいっぺんに解決する」と応じた。
玉城知事は、国会との連携など経験を生かし翁長前知事とは異なる方法で辺野古問題の打開策を探る。