辺野古移設 対話拒否に沖縄怒り 政府が対抗措置 - 毎日新聞(2018年10月17日)


https://mainichi.jp/articles/20181018/k00/00m/040/137000c
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米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設反対を訴えて勝利した玉城デニー知事が、安倍晋三首相に「対話」を呼び掛けてからわずか5日後。政府が17日、移設工事再開に向けて対抗措置を打ち出したことに対し、沖縄では「民意を無視するのか」「沖縄の尊厳を傷付ける行為だ」と憤りの声が渦巻いた。
17日夜、那覇市長選に立候補した現職候補の街頭演説が県庁前であり、玉城知事が応援のマイクを握った。玉城知事は、防衛省が同じ内閣の一員である国土交通相に審査や執行停止を求めるという政府の手法を批判。「自作自演でしかない。本当に情けない。もっとしっかりお互いに胸を開いて、日本や沖縄の平和をどう考えるかを、国と地方自治体が話し合うべきではないか」と強く訴えた。
玉城知事は9月30日の知事選で政権側の候補に約8万票差をつけて圧勝した。辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前で抗議活動を主導する沖縄平和運動センターの山城博治議長は「知事選で辺野古反対というあれだけの民意が示されたのに、政府にとって沖縄の民意は一切関係ないのだろう。安倍首相の『県民に寄り添う』『負担軽減』という言葉がいかにまがい物かが明らかになった」と憤った。
沖縄の若い世代からも政府の姿勢を厳しく問う声が聞かれた。
那覇市の団体職員、徳森りまさん(31)は「玉城知事が安倍首相と会ったばかりなのに、政府がすぐに対抗措置をやってきたことはとてもショック。翁長雄志(おなが・たけし)前知事が命を懸けて承認撤回の手続きをし、その後の知事選で再び反対の民意が出たにもかかわらず、対話もなく、撤回を無効化するような手段を取るのは沖縄の尊厳を傷付ける行為だ」と語った。
那覇市の写真家、普久原朝日さん(24)は「対抗措置を取ってくるだろうと思っていたので諦めることはない」と受け止めたうえで、「沖縄が選挙で何度民意を示しても中央の政府は聞き入れない。それが政府の考える民主主義ならば、その民主主義が世界でどう思われるのかを問うたらいい」と投げ掛けた。
一方、移設を条件付きで容認する辺野古の不動産会社社長、飯田昭弘さん(70)は「政府の措置は想定内。結局、辺野古の問題は裁判所に委ねるしかないのでは。ただ、県と政府は腹を割って話し合い、本土が受け入れるまでの暫定的な形にするなどの落としどころを探るべきだ」と話した。【佐野格、杣谷健太、遠藤孝康】