第一原発防潮堤新設へ 巨大地震に備え全長600メートル - 福島民報(2018年9月15日)

http://www.minpo.jp/news/detail/2018091555371
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東京電力は北海道東部沖の太平洋で発生が切迫していると評価されているマグニチュード(M)9級の巨大地震による津波に備え、福島第一原発1〜4号機の海側を完全に囲う全長約六百メートルの防潮堤を新設する方針を固めた。原子炉建屋や汚染水処理施設など重要設備を防護し、廃炉作業の遅延と汚染水の拡散を防ぐ。十四日に東京都で開かれた特定原子力施設監視・評価検討会で示した。
政府の地震調査委員会は千島海溝沿いで巨大地震が発生する確率を今後三十年で最大40%と予測し、昨年十二月に公表した。東電はこの地震で最大約一○メートルの津波福島第一原発に押し寄せ、1〜4号機の原子炉建屋がある海抜八・五メートルの敷地では約一・八メートル浸水すると試算した。新たな防潮堤は太平洋に面した建屋東側に設ける。高さは三〜四メートル程度とし、建屋への海水の流入を防ぐ。材料はコンクリートを用いる方向で検討している。
4号機南側に東日本大震災の大規模な余震に伴う津波対策として長さ約四百メートルの石積み防潮堤が既設されている。東電は新設する防潮堤と結合させ、総延長を約一キロとする方針。1〜4号機を囲うことで建屋を浸水から守り、溶融核燃料(デブリ)取り出しなど廃炉作業への支障が生じるのを防ぐ。建屋内の放射性物質に海水が触れて汚染水が増えたり、放射性物質の吸着装置が浸水で故障したりする危険性も低減させる。
東電は防潮堤の早期設置を目指しているが、設計に数カ月かかり、完成時期は見通せていない。最も切迫した津波への対策と位置付けているため、震災と同規模の津波が襲来した場合は完全に防ぐことができないなどの課題が残る。県原子力安全対策課は「想定される津波への対策は評価できる。不断の努力で改善を重ね、安全かつ着実に廃炉を進めてもらいたい」と求めている。
一方、原子炉建屋などの地下には汚染水計約四万四千トンがたまっている。東電は汚染水が津波で流出しないよう建屋の扉など約百二十カ所の開口部をふさぐ作業も進めている。