http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/306990
https://megalodon.jp/2018-0831-0921-42/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/306990
文部科学省が実施した全国の公立小中学校の耐震化調査によると、県内では1597棟のうち138棟で、震度6強の揺れに耐えられないことが明らかになった。
文科省が年1回実施する校舎や体育館などの耐震化を調べたもので、沖縄の耐震化率は91・4%だった。前年より1・4ポイント改善したが、全国平均は99・2%で、沖縄は全国で最も低く、耐震化の取り組みの遅れが目立った。震度6強以上で倒壊の危険性が高い建物も19棟あった。
全国にある未耐震化の建物は978棟で、うち約14%の建物が沖縄にあることになる。24市町村にまたがり、最も多いのは那覇市の45棟で、全国の市町村でも3番目に多かった。大きな揺れを伴う地震が発生してからでは、取り返しがつかないことになりかねない。同市を含む各自治体では、児童・生徒の安全を最優先にし、耐震化を急ぐべきである。
文科省によると、全国の未耐震化の建物について、学校統廃合などを予定しているため、耐震改修に踏み切れないケースが多いという。
県内でも同様の理由での耐震化の遅れがある一方で、塩分濃度の高い海砂が使われた建物の老朽化という要因もある。そのため耐震化には改築を優先する傾向があり、耐震補強で完了できる県外との差につながった。
「予算が確保できない」「危機意識が薄く、取り組みが遅れた」との理由を挙げた自治体もあった。悠長に構えてはいられない。万全な学習環境整備に尽くしてほしい。■ ■
学校の安全では、ブロック塀の安全性も懸念されている。6月の大阪府北部地震で学校のブロック塀が倒れ、小学4年生の女児が死亡したことが契機となった。
県教育委員会が県内公立幼稚園や小中高校、特別支援学校のブロック塀を調査した。塀のある438校のうち68・5%に当たる300校の917カ所で、建築基準法に適合しないとみられる塀があった。ひび割れなどの劣化が確認されたのは322校、954カ所あった。
県教委は今後、補強や取り壊しの必要性を判断するため、詳しい調査をするという。建築基準法不適合の塀がある学校が最も多かった那覇市では、幼稚園、小中学校のブロック塀を全部撤去し、フェンスなどに変更する方針を固め、事業費を予算化する。
他の自治体でも対策に乗り出す動きもあり、安全策は今後も追求してもらいたい。■ ■
県民の間には、地震・津波被害への現実感が乏しいと言われてきた。しかし、政府の予測では、沖縄で強い揺れの地震が起こる確率は決して低くない。大阪北部地震のような震度6弱の地震は、いつ起こってもおかしくない。
実際、石垣島沖を震源地とする1771年4月の「明和の大津波」では、八重山・宮古で約1万2千人が犠牲になったといわれる。地震・津波へ備えは意識しておきたい。
学校の安全、子どもを守るための課題を洗い出し、念には念を入れて安全対策を講じていく必要がある。