http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201806/CK2018063002000158.html
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政府が今国会の最重要法案と位置付ける「働き方」関連法案が二十九日の参院本会議で採決され、与党の自民、公明両党と、野党から日本維新の会、希望の党、参院会派の無所属クラブが賛成して可決、成立した。高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ、残業代ゼロ制度)」の創設が盛り込まれるなど、働く人たちを守る労働法制が大きく変わることになる。 (木谷孝洋)
野党の国民民主、立憲民主、共産、社民、自由の各党と、参院会派の沖縄の風は反対。参院会派・国民の声は藤末健三氏が賛成、平山佐知子氏が反対した。
成立を受け、安倍晋三首相は官邸で記者団に「七十年ぶりの大改革だ。これからも働く人の目線に立って改革を進めたい」と語った。立憲民主党の枝野幸男代表は記者会見で「高プロが運用されれば過労死が増えかねない」と訴えた。
高プロは、労働基準法で「一日の労働時間は八時間」と定める規制を撤廃し、働いた時間と賃金の関係を一切なくす制度。適用されれば、残業代や深夜・休日の割増賃金は支払われなくなる。労働組合や過労死遺族らは「過労死の増加につながる」と反対。野党は法案から撤回を求めたが、政府、与党は応じなかった。
政府は「柔軟で多様な働き方につながる」と強調。対象に年収千七十五万円以上の金融ディーラーやコンサルタントなどの専門職を想定する。ただ具体的な年収要件や業種は今後の労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)に委ねる。適用には本人の同意が必要。
関連法はこれまで労使で合意すれば上限がなかった時間外労働に初めて罰則付きの上限規制を導入。非正規社員の待遇改善を図る「同一労働同一賃金」など、労働者保護につながる内容も盛り込まれた。