新宿区 デモ規制強化 「騒音」理由 出発公園4→1に - 東京新聞(2018年6月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018062802000119.html
https://megalodon.jp/2018-0628-0914-22/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018062802000119.html

騒音などへの苦情を理由に、東京都新宿区が、区立公園の使用基準を見直し、デモの出発地にできる区立公園を現在の四カ所から一カ所に減らすことを決めた。区は「要望に迅速に対応した」と説明するが、開かれた議論のないまま区長と職員だけで決定したことに、反発が広がっている。(増井のぞみ)
区立公園の使用基準の見直しは、二十七日の区議会環境建設委員会で報告された。住宅街にない公園で、面積は千平方メートル以上、園内に百平方メートル以上の広場があること−などの現在の基準に「学校・教育施設、商店街に近接しない」という条件を加えた。八月一日から実施する。
これにより、デモに使える区立公園は現在の柏木、花園西、新宿中央、西戸山公園の四カ所から新宿中央公園一カ所となる。
二〇一四〜一六年度はそれぞれ一年間に五十〜六十件台だった四公園でのデモが昨年度は七十七件、本年度も四〜五月だけで十五件と急増している。五月から六月にかけ、柏木・花園西の両公園の周辺住民からはデモの制限を求める要望書が出され、区は関係部署で協議。今月二十日、部長決裁で基準見直しを決めた。
議会委では、共産、立憲民主などの四人から異論が出た。雨宮武彦区議(共産)は「八月から実施ではなく、きちっと議会に諮って検証するべきだ。規制が先にありきではないか」と区の拙速な対応を批判。区みどり土木部の田中孝光部長は答弁で「私自身、住んでいる家の近くの公園に警察がしょっちゅう来て、デモがあるのは嫌だ」と述べた。
住宅街が広がる世田谷区は、四百二十カ所の区立公園でのデモを禁止する基準はない。開催のたびに、内容を判断し許可している。国会を抱える千代田区は、滞在時間は十五分、拡声器は使用しないなどのルールを守れば、区立公園をデモの出発地にすることを認めている。若者の多い渋谷区は、唯一、デモの出発地に使えた宮下公園が工事で閉鎖されている。

表現の自由揺るがす
山田健太専修大学教授(言論法)の話 デモのための公園使用が、場合によっては周辺の住民にとって迷惑であることは予想されたとしてもデモ規制を行ってよい理由にはならない。すべてのデモは、何らかの市民生活に支障を及ぼす可能性があり、それだけが理由で不許可になるなら、すべてのデモが規制の対象になってしまう。憲法で保障された表現の自由を根本から揺るがすものであって許されない。

◆「ヘイトとは違う」「ビルの上に響く」
新宿区の区立公園使用基準の見直しで八月からデモの出発地として使えなくなる柏木公園で二十七日、改憲反対などを訴えるデモがあり、参加者からは「デモは表現の自由だ」「公園を使わせてほしい」との声が上がった。
デモの実行委員会メンバーの木村隆さん(76)は「ヘイトスピーチと一般的なデモを一緒にされてはかなわない」と憤慨。柏木公園は、JR新宿駅西口に近く、あまり歩かなくても多くの人に訴えをアピールできるため、高齢者も参加しやすく、利便性が高いという。「自己満足ではなく、声を聞いてもらうためにやっている。公園が使えないのは、デモの死活問題だ」と語気を強めた。
一方、公園近くの住民や商店の反応はさまざまだ。デモ規制の要望書を区に提出した商店会「新宿広小路会」の石川謙一会長(69)は「われわれの公園がデモの中心地になり、音がビルの上に響く。近くに保育園やホテルもあるし、デモは全部やめた方がいい」と話した。
近所に住む女性(67)は「うるさい時もあるけど、全てやめさせるのはやりすぎではないか。言いたいことを言える環境は必要だ」と疑問を呈した。(清水祐樹)

ネット上で賑やかになっていますので、簡単に情報の整理をいたします!新宿区長 吉住健一 公式ホームページ
http://www.yoshizumi.jp/

「新宿区がヘイト対策、表現の自由懸念も」という見出しの6月26日付朝日新聞夕刊の記事を読んでいただけると雰囲気が伝わると思いますが、ヘイトデモをきっかけとしてデモの行われている環境を分析したところ、デモの出発地として利用されている公園が住宅地や商店街、学校、福祉施設に近接していることがわかり、「公園の使用許可の基準の見直し」を行いました。
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公園のデモ使用制限、ヘイト以外のデモも対象 新宿区 - 朝日新聞(2018年6月27日)
https://www.asahi.com/articles/ASL6W5KNKL6WUTIL032.html
http://archive.today/2018.06.27-220147/https://www.asahi.com/articles/ASL6W5KNKL6WUTIL032.html

東京都新宿区は27日、区立公園の使用基準を変更してデモの出発地に使えるのを新宿中央公園だけにしたと区議会に報告した。外国人差別などのヘイトスピーチを含むデモだけでなく、デモ全般の制限が目的と説明しており、区議らは「表現の自由を侵しかねない」などと批判している。
区によると、基準は6月20日に変更され、学校・教育施設や商店街に近接している公園はデモ出発地に使えないこととした。これにより、8月以降、使用可能な公園は4カ所から新宿中央公園1カ所になる。
基準変更の理由について、吉住健一区長は朝日新聞の取材に対し、「商店街などの近くでヘイトスピーチが横行する状況を放置できない」などと述べ、ヘイトデモ対策と説明していた。
しかし、27日の委員会で、基準変更を決裁した区みどり土木部長らは「変更検討のきっかけはヘイトスピーチ対策もある。それも含めて総合的に判断した」と述べる一方、「ヘイト(デモ)のほかに、非常に大人数でシュプレヒコールをあげるデモもある。こうした状況も勘案した」「(近所の公園に)知らない人がかなり集まるのは、住民にとってかなり嫌な状況だ」などと答弁。ヘイト以外のデモの活動範囲も制限したい考えを示した。