森友文書公表 疑惑解明は国会の責務 - 東京新聞(2018年5月24日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018052402000176.html
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財務省が公表した学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる交渉記録からは国会を欺き続けた重大な隠蔽(いんぺい)行為が浮かび上がる。何を隠そうとしたのか、国会は今度こそ真相解明を果たすべきだ。
「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」
安倍晋三首相が二〇一七年二月十七日に国会で発した言葉が、すべての始まりだったとの見方はますます強まったといえる。
今回明らかになった重大な事実は、佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長の「売買契約の締結をもって事案は終了し、記録は速やかに廃棄した」との国会答弁と整合性を図るために、理財局職員が九百五十ページに及ぶ交渉記録を廃棄するよう指示していたことだ。
国有地売買の決裁文書を改ざんしたのと同様、答弁とのつじつま合わせのためだったと理財局幹部はこの日、国会に説明した。
問題の核心は、佐川氏の国会答弁が、首相の「辞める発言」を受けて、「記録は残っていない」と急速に強弁に転じた点である。
交渉記録には、首相夫人付きの政府職員だった谷査恵子氏が、学園の要望を受け、「国有地の賃料に優遇が受けられないか」などといった問い合わせを財務省にしていたことが記されていた。
学園との交渉で安倍昭恵氏の関与を深くうかがわせるものではないだろうか。決裁文書改ざんで昭恵氏の名前が削除されていたのと併せ、疑惑はより深まったと思わざるを得ない。
交渉記録は、廃棄が進められたものの、近畿財務局の職員が個人的に「手控え」として保管していたものもある。いずれにしても財務省は国会を一年以上にわたり欺いてきたのである。国権の最高機関、国民の代表をだます行為は、国民全体を愚弄(ぐろう)するに等しい。
加計問題では、安倍首相が加計孝太郎理事長と一五年二月に面談したかが焦点となっている。愛媛県職員が学園からの報告として面談記録を文書に残しているにもかかわらず、首相は「会っていない」の一言で一蹴した。
これでは国民の納得はいつまでたっても得られるはずはない。真相解明を妨げているのは、加計氏や昭恵氏らの証人喚問に反対している与党に他ならない。
憲法で国会に付与された国政調査権がもはや死蔵された状態のままなのも自公の党利党略のせいである。首相の疑惑解明は与党の責務であると認識を改めるべきだ。