https://mainichi.jp/articles/20180524/k00/00m/040/187000c
http://archive.today/2018.05.24-002328/https://mainichi.jp/articles/20180524/k00/00m/040/187000c
財務省は23日、学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却を巡る学園側との交渉記録を国会に提出し、国会で問題となった昨年2月以降、理財局の一部職員が近畿財務局職員に保管する交渉記録を廃棄するよう指示していたことを明らかにした。関係者によると、複数の財務局職員が同省の調査に「捨てるよう指示を受けた」と証言しているという。当時理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官の「(交渉記録は)廃棄した」との国会答弁に合わせるためで、虚偽答弁だったことが明白になった。
財務省は、大阪地検の捜査結果を見極めた上で、文書改ざんとあわせた調査結果と職員の処分を公表する。当時の理財局幹部らを懲戒処分とする方針で、すでに退職し国家公務員法上は処分できない佐川氏は懲戒処分相当とする。佐川氏は3月9日に辞職した際、「行政への信頼を損なった」として減給20%、3カ月の懲戒処分を受けたが、追加処分が科される見通しだ。
交渉記録を巡って、佐川氏は昨年2月24日の衆院予算委員会での答弁で「事案が終了したため、廃棄した。記録は残っていない」と断言していた。
財務省によると、交渉記録は財務局職員らが手控えとして保管していた。同省は国会提出に当たり、捜査当局の協力も得てほぼ全てをそろえたといい、記録は全217件、A4判で約960ページに上った。
23日午前、衆参両院の予算委員会に交渉記録と改ざん前の決裁文書を提出した富山一成理財局次長は「国会答弁が事実と異なっていたことについて、深くおわび申し上げる」と謝罪した。
国有地は、2016年6月、地中に埋まったごみの撤去費用として約8億円を値引きし1億3400万円で学園側に売却された。交渉記録では、首相の妻安倍昭恵氏に関する記述もあった。売却に先立ち財務局側と学園側が貸し付け契約を結んだ後の15年11月、学園側の要請で、昭恵氏付職員の谷査恵子氏が理財局に「安倍総理夫人の知り合いの方から優遇を受けられないかと総理夫人に照会があった」と電話。理財局側は賃料の減免には応じられないとしつつも「現行ルールのなかで最大限配慮をしている」と応じた。また16年3月15日の記録では、学校建設の過程で「新たなごみが見つかった」として、学園の籠池泰典理事長(当時)らが理財局を訪問し昭恵氏の名前を挙げて対応を迫った。
一方、あわせて提出した改ざん前の決裁文書は計14文書で約3000ページに上る。大阪地検から提供を受けたコピーなどをもとに、財務省が改ざん前の状態を復元した。【井出晋平、杉本修作】