森友交渉記録 佐川氏答弁後に廃棄 昭恵氏隠し 鮮明に - 東京新聞(2018年5月24日)

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学校法人「森友学園」を巡る国有地売却問題で、財務省が徹底して政治の関与を隠蔽(いんぺい)しようとしていたことが鮮明になった。同省は二十三日、「残っていない」と説明してきた約九百五十ページに上る交渉記録を国会に提出し、問題が発覚した直後の昨年二月下旬以降、理財局職員の指示で廃棄していたことを明らかにした。昨年二月に安倍首相が「妻(昭恵氏)が関与していたら首相を辞める」とした国会答弁の直後に、約三千ページの決裁文書の改ざんと記録の廃棄で、昭恵氏側の関与を隠そうとしたことになる。(桐山純平、白山泉)
大阪地検の協力などで復元した交渉記録は約九百五十ページで、二百十七件に上る。財務省職員が「手控え」として個人のパソコンなどに保管していた。財務省は昨年二月下旬以降、交渉記録を廃棄。決裁文書の改ざんも昨年二月下旬から四月に行っていた。いずれも佐川氏の答弁とつじつまを合わせるためだったと説明した。
交渉記録には、昭恵氏の名前が少なくとも九回登場した。このうち、昭恵氏付きの政府職員だった谷査恵子氏が二〇一五年十一月、森友側による国有地の賃料減額の優遇制度について財務省に問い合わせた、と記されている。安倍首相はこれまで谷氏の問い合わせを「自発的」と説明してきたが、記録には「優遇を受けられないかと総理夫人に照会があり、問い合わせた」との記載があった。
森友問題が発覚後の昨年二月十七日の衆院予算委員会で、安倍首相は「私や妻が関係していたなら、首相も国会議員も辞める」と強調。野党は記録の提出を求めたが、同月二十四日、佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官(当時は理財局長)は衆院予算委で「売買契約の締結をもって、事案は終了した。記録は速やかに廃棄した」と述べた。
野党は合同会合で「誰の指示で廃棄したのか」と財務省を追及。理財局の富山一成次長は「それは人事当局の調査で」と明言しなかったが、同省は今月中にも、文書改ざんや交渉記録の廃棄が行われた原因や責任に関する調査結果を公表する。
財務省は交渉記録のほか、森友学園に関する改ざん前の決裁文書全文(約三千ページ)と、「本省相談メモ」とされる資料も提出した。

◆「昭恵氏知人」の相談受け照会
交渉記録には、昭恵氏付きの政府職員だった谷査恵子氏が二〇一五年十一月、財務省理財局の担当課に、森友学園との土地取引について詳細に問い合わせていた状況が記されていた。
事案の背景として冒頭に「安倍総理夫人が名誉顧問に就任した開校予定の小学校から問い合わせがあった」と記載されていた。昭恵氏は一五年九月に名誉校長に就任し、財務省側は昭恵氏と学園側との関係を知った上で回答していた。
一五年十一月十日にまず谷氏からの連絡を受けたのは、財務省国有財産業務課の職員。谷氏は「安倍総理夫人の知り合いの方が、近畿財務局管内の国有地で、今年五月に定期借地契約を締結し、社会福祉法人同様、(借地料を減額する)優遇を受けられないかと照会があった。学校法人に拡大されるなど、今後の方針について教えていただきたい」と照会していた。
この二日後に、財務省の田村嘉啓国有財産審理室長(当時)が谷氏に電話で「学校施設まで対象とするものではない」と回答。「森友学園に対する国有地の貸し付け・売り払いは、最大限の配慮をして対応しているが、先方が理解してくれない」と話したという。(藤川大樹、岡本太)