柳瀬氏参考人招致 疑念はさらに深まった - 琉球新報(2018年5月11日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-716308.html
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質問されなければ、事実解明につながることであっても答えないとの姿勢はあまりに不誠実である。そんな人物の説明をうのみにはできない。
学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、衆参両院の予算委員会は柳瀬唯夫元首相秘書官を参考人招致した。柳瀬氏は計3回、首相官邸加計学園関係者と面会したことを明らかにした。
柳瀬氏は昨年7月の衆参両院の閉会中審査の答弁で「記憶の限りでは会っていない」とした対象は、愛媛県今治市職員についてだとした。加計学園関係者との面会の有無については、質問がなかったので説明しなかったというのである。
安倍晋三首相と加計学園の加計孝太郎理事長は長年の友人である。このため、獣医学部の新設を巡って「加計ありき」が疑われてきた。説明責任を果たすことが国民に奉仕する公務員のあり方である。柳瀬氏にはその自覚がないのではないか。
柳瀬氏は「質問に一つ一つ答えた結果、全体像が見えづらくなった」とし、謝罪した。質問に丁寧に答えたように装っているものの、実際は「加計ありき」につながる不都合な事実を伏せるために聞かれなかったことには答えない姿勢を貫いただけではないか。実際、柳瀬氏は「国家戦略特区の関係で会った民間の方は加計学園だけ」と答弁している。疑念はさらに深まったと言えよう。
愛媛県職員は2015年4月2日に柳瀬氏と、今治市職員や加計学園関係者と共に面会し「首相案件」との発言があったとする文書を作成している。
柳瀬氏は面会した際に「国家戦略特区制度は安倍政権の成長戦略の看板政策であると説明した」としたが「首相案件」発言は否定した。「普段から『首相』という言葉は使わず、違和感がある」とも述べた。
愛媛県職員が「首相案件」と捏造ねつ(ぞう)する理由はない。そもそも「首相」の言葉を使ったかどうかが問題でもない。「総理」も「首相」も安倍首相を指す。「安倍案件」と受け取られるような発言を、柳瀬氏がしたかどうかである。
柳瀬氏は「今治市の個別プロジェクトが首相案件になると(私が)言うとは思わない」と述べた。その一方で加計学園側に「獣医学部新設の解禁は総理が早急に検討していくと述べている案件」と説明したことを認めた。「総理案件」と受け取るのが自然ではないか。
面会記録を文書で残していた愛媛県職員と、記憶の有無を主な根拠として答弁する柳瀬氏のどちらを国民は信頼するだろうか。
柳瀬氏は加計学園関係者との面会の事実を安倍首相に報告したことは「一切ない」としたが、信じ難い。看板政策に関することを秘書官が安倍首相に報告しないことなど考えられない。