(政界地獄耳)平和の流れを感知できない日本 - 日刊スポーツ(2018年4月30日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201804300000190.html
http://archive.today/2018.04.30-013453/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201804300000190.html

★日本の外交は本来の外交ではなく、好き嫌い、包囲網と外交を敵味方に分けたもの。それを俯瞰(ふかん)するとしてきた安倍外交の因果といえる。28日、朝鮮中央通信は、北朝鮮が核実験中止などを発表したにもかかわらず、「日本は最大限の圧力維持を表明した」と指摘し、「朝鮮半島と地域に流れる平和の流れをきちんと感知できない」と論評した。それは、安倍外交が平和という言葉を安全保障と言い換え続け、圧力を絶えず平和維持の道具としたからだ。
★同日、副総理兼財務相麻生太郎自民党福岡県連大会で講演し、南北首脳会談について「北朝鮮が核を放棄するといっても、核開発に携わった数千人の科学者がいる間は、情勢が変われば核開発を再開できる」とした。これではまるで、南北の平和を認めるわけにはいかない、永遠の仮想敵国でいてほしいと願っているようだ。共同宣言署名の後、共同発表の中で朝鮮労働党委員長・金正恩は「合意したことは、過去のように死文化した歴史を繰り返さないよう、ひざを突き合わせて協議した。必ず成し遂げられるよう努力していく」。今の安倍外交には、この度量がない。
共産党副委員長・市田忠義は、フェイスブックに次のように記した。「歴史的な南北会談に、世界が注目。朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和構築のための大きな一歩が踏み出されることを、心から期待する。日本の政府関係者は『友好ムードを印象付けるような演出に惑わされてはいけない』『うまくいくかわからない』と。なんという情けない、傍観者的なコメントか。圧力一辺倒の外交(いや、これは外交とは言えない)からは、何も生まれない。うまくいくように力を尽くすことこそが、かつて植民地支配をしていた日本政府の責任ではないのか」。29日、首相・安倍晋三は「南北首脳会談は、我々が決めていたラインにのっとって行われたことが確認できた」と記者団に述べた。もうやめてくれ。(K)※敬称略