安保法2年 任務・武器、日米一体化進む 空母化改修、共同運用案も - 東京新聞(2018年3月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201803/CK2018032902000142.html
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集団的自衛権の行使を可能とした安全保障関連法の施行から二十九日で二年。この間、自衛隊の新任務や能力の高い武器の拡大を通じ、日米の軍事的一体化と憲法九条に基づく「専守防衛」を逸脱する動きが進んだ。北朝鮮が核・ミサイル開発を進めてきたことを理由に、安倍晋三首相は「従来の延長線上ではない」防衛政策を提唱し、この傾向を一層推し進める構えだ。
安保法の新任務が初めて付与されたのは施行約半年後の二〇一六年十一月で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加していた陸上自衛隊部隊への「駆け付け警護」。だが、現地の治安悪化で活動が制限され、実施はされなかった。
新任務が初めて実施されたのは昨年五月。海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」が、日本近海で米補給艦に「武器等防護」を行った。海自艦とわかれた米補給艦は、北朝鮮をけん制するため日本海に展開していた米空母艦隊に燃料を補給したとみられている。昨年後半には、航空自衛隊も日本周辺に飛来した米空軍の爆撃機に武器等防護を実施した。
武器等防護は有事ではないが情勢が緊張しているグレーゾーン事態に、自衛隊が米艦艇や航空機を警護する任務。第三国が米軍の活動を妨害した場合、武器を使って阻止でき、武力衝突に発展する危険もはらむ。
海自艦は昨年六月ごろ、安保法で新たに可能となった弾道ミサイル発射警戒中の米イージス艦への給油も日本海で実施。日米の任務一体化を印象づけた。
自衛隊が新たに導入する武器も日米一体化の流れを反映しつつある。二十八日成立した一八年度予算には空自の戦闘機に搭載する長距離巡航ミサイルの関連費用を盛り込んだ。射程は国内から北朝鮮本土に届き、専守防衛を逸脱する懸念はぬぐえない。
今年末に改定する防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」では、護衛艦「いずも」を戦闘機の発着が可能な空母に改修する計画も検討。改修後は、日米両国の戦闘機が共同運用する案もある。艦載機には米国製のステルス戦闘機F35Bを検討。敵国を攻撃できうる能力を備え、専守防衛を超えると指摘される。 (新開浩)