http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/221130
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台湾の国民党政権が1947年、住民を虐殺した「2・28事件」。浦添市の青山惠昭(けいしょう)さん(74)は今年の2月28日も追悼式典に参列した。父惠先(えさき)さんが巻き込まれ、命を落とした
▼台湾の裁判所は2016年、青山さんへの損害賠償を認めた。台湾当局が日本の戦後補償が不十分だからと支払いを拒否したのを覆した。人権に国境がないことを示す判決だった
▼台湾は民主化を進め、国際人権法を積極的に取り入れてきた。来沖中の呉豪人(ごごうじん)・輔仁(ほじん)大教授は「人権を尊重する良い国になって、そんな国が消滅してもいいのか、と国際社会に訴えている」と説明する。地位が不安定な中、人権を掲げて安全を保障する試みといえる
▼青山さんの判決を「まだまだ不十分とはいえ民主化の成果」と評価する呉教授はこうも語った。「日本には法理論を自給自足できるという変な確信があるようだ」
▼日本は国連人権機関の助言を繰り返しはねつけている。「従軍慰安婦」問題や共謀罪への懸念表明には特に激しく反発した。人類普遍の価値に背を向けるかのようだ
▼青山さんは台湾から「宿題」を持ち帰っている。当局関係者に謝罪され「台湾は過去を反省した。今度は日本がお返ししてほしい」と言われた。しかし、「日本は全く逆行しているのではないか」。交流を続ける青山さんの憂いは深い。(阿部岳)