(大弦小弦)母校の那覇市立城北中学校には毎朝、読書の時間があった・・・ - 沖縄タイムズ(2018年3月3日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/217361
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母校の那覇市立城北中学校には毎朝、読書の時間があった。授業開始前の15〜20分間ほど。1980年代、1学年14学級もあるマンモス校で、ふだんは騒々しかったが、その時間だけは校内がしんと静まりかえった。
全国大学生協連の調査で、大学生の53%が1日の読書時間が「ゼロ」だと回答した。ゼロが半数を超えたのは調査項目に読書時間が加わった2004年以降初めてだという。
若い世代の「本離れ」が進んでいる。日々の生活の中に読書の時間が存在しない学生が多数派になった。生協連は高校までの読書習慣が全体的に下がっていることの影響が大きいと分析する。
一方で興味深いのは、120分以上読書する学生の割合が10年近く、5%以上を維持していること。読む習慣のある学生の平均読書時間は51分と前年より2分半伸びた。読む学生と読まない学生が二極化しているといえるし、ひとたび本の魅力を知れば、長時間親しむことが習慣になるといえる。
読書の魅力や効果は計り知れない。知らない世界への扉を開いてくれるし、鍛えられる想像力は他者への共感力を高める。特に多感で葛藤も大きい思春期には生きるよすがになるはずだ。
中学時代の読書の時間を今も思い返すことがある。1日の数十分間、現実世界から離れ、想像空間をたゆたう、豊かなひとときだった。(高崎園子)