(大弦小弦)米音楽界最高の栄誉とされる第60回グラミー賞で… - 沖縄タイムズ(2018年1月31日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/202905
https://megalodon.jp/2018-0131-0940-52/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/202905

米音楽界最高の栄誉とされる第60回グラミー賞で、多くのミュージシャンたちが身に着けた白いバラ。「希望や平和、同情、抵抗」の意味が込められた。セクハラ被害者の支援や抗議の意思を示したものだ

▼映画界やスポーツ、政界など世界的に相次いでいるセクハラの告発。被害者支援のキャンペーンに連動する動きは広まり、白バラもそのひとつ

▼プロデューサーから受けたセクハラ被害を訴えている歌手のケシャさんは、自身の苦難を乗り越えた経験を歌ったとされる曲を多くのミュージシャンと披露した。あふれる感情が伝わるパフォーマンスが胸に響いた

▼自殺防止を呼び掛ける曲を披露したラッパーのロジックさんはさまざまな差別を訴え、「声を上げるのを怖がらないで」とスピーチ。共演者が着た「君は一人じゃない」のロゴ入りTシャツのメッセージも共感を呼んだ

▼大事なことは華やかな舞台に立つ人たちが訴えることでも有名人が言うからでもない。キーワードは連帯だろう。セクハラや性暴力に声を上げにくい現状がいまだにある。被害者を孤立させてはいけないという連帯は不可欠だ

▼おかしいことを真正面からおかしいと訴えることができる環境をつくるためにも、アーティストらが発するメッセージは心強い。白いバラに込められた思いを共有したい。(赤嶺由紀子)