国会議員の暴言 人権意識欠け看過できず - 琉球新報(2017年11月30日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-622070.html
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人権意識や個人の尊厳を理解できないなら国会議員の資格はない。
自民党衆院議員の山本幸三前地方創生担当相が、同党の三原朝彦衆院議員の会合で、三原氏のアフリカ支援活動に触れ「何であんな黒いのが好きなんだ」と語った。黒人差別とも受け取られかねない暴言で看過できない。
山本氏は三原氏が開いた政経セミナーでのあいさつで、三原氏が長年取り組んでいるアフリカとの交流を紹介した上で「ついていけないのが(三原氏の)アフリカ好きでありまして」と述べ、問題の発言をした。
山本氏は発言後「アフリカを表す『黒い大陸』が念頭にあり、とっさに出た」と釈明。「人種差別の観点は全くない。表現が誤解を招くということであれば、撤回したい」と述べた。
しかし、今回の発言は、誤解では済まされない。山本氏は今年4月、大津市で地方創生に関するセミナーに出席し、外国人観光客らに文化財などの説明、案内が不十分として「一番のがんは文化学芸員。この連中を一掃しないと駄目」などと不規則発言をしているからだ。
黒人差別発言を巡っては中曽根康弘元首相が1986年、「アメリカは黒人、メキシコ人、プエルトリカン(プエルトリコ人)とかがいて低い」と発言し、物議をかもした。
2年後の88年、自民党政調会長だった渡辺美智雄氏が「破産は日本では一家心中ものの重大問題だが、向こう(米国)では黒人とかいろいろいて、あっけらかんとしている」と、黒人などを侮辱したともとれる発言をして国際問題になった。
日本国憲法は「法の下の平等」をうたい差別を禁じている。日本は95年に人種差別撤廃条約に批准し、差別撤廃の義務を負う。条約は人種差別を処罰する法律の制定や民族的マイノリティー(少数派)の保護を求めている。
国連人権理事会の作業部会は、日本の人権状況に関し218項目の勧告を出した。勧告は国連加盟国がお互いに指摘し合うもので、日本に対する106カ国からの指摘が16日に採択された。
勧告にはヘイトスピーチへのさらなる対策や朝鮮学校への制度差別中止など、人種差別撤廃への取り組みが盛り込まれている。
差別的言動を許さない社会をつくるために、国会議員は先頭に立たなければならない。山本氏だけではない。自民党竹下亘総務会長は、天皇、皇后両陛下が開催する宮中晩さん会に関し「(国賓の)パートナーが同性だった場合、どう対応するのか。私は(出席に)反対だ」と述べた。性的少数者に関し、差別解消や権利保障が求められる中で見識を疑われる発言だ。
山本、竹下両氏に猛省を促したい。国際社会は、多様性を認める共生社会を目指していることを自覚すべきだ。