夏休み みんなでごはん 子ども食堂きてね - 東京新聞(2017年8月6日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017080602000118.html
https://megalodon.jp/2017-0806-1514-19/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017080602000118.html

子どもたちにとっては、楽しい夏休みの真っ最中。ただ、給食がないため食事が不規則になったり、保護者が忙しく一人で留守番する機会の多い子どもには寂しさを感じたりすることもある。「みんなで一緒にごはんを食べよう」と呼び掛け、夏休み限定の「子ども食堂」開設などの試みが各地で広がっている。 (柏崎智子、奥野斐)
「包丁使ったことない」「指を丸めて『ネコの手』だよ」
 先月25日、東京都立川市の旧多摩川小学校「たまがわ・みらいパーク(たまみら)」の調理室で、子ども食堂が開かれた。夏休み前半の10日間限定。この日は小学生18人がボランティアに教わりニンジンやタマネギを刻んだ。アサリスパゲティと野菜スープが完成すると、子どもたちは、おしゃべりをしながら、おいしそうにほおばった。
「たまみら」は市民有志の委員会が運営。昨春から学校の長期休暇中、一人100円で昼食を食べられる子ども食堂を開いている。
昨夏から参加する6年男子(11)は「家では電子レンジでチンして一人で食べることが多いけど、ここはみんなで食べられる。その方がおいしいし楽しい」。4年生の女子(10)も「大人の人が多くて安心できる」と笑顔を見せた。
品川区で「カフェ・ピリオド」を経営する荒井マキコさん(49)も、長期休暇限定で子ども食堂を開く。今月は毎週月曜に、夕食を200〜400円(子ども)で提供する。
小学生の時、父母を相次いで病気で亡くした。「親の入院と給食のない時期が重なるときつかった。きょうだいだけで過ごす日に食事がない心細さ。経済的には困っていなかったので、外見では分からなかったと思う」。そんな思いをしている子どもが、ほっとできる場になればと始めた。
前橋市では、「フードバンクまえばし」が今月、他団体と連携し7カ所で「キッズカフェ」を開いている。遊んだり宿題をしたり自由に過ごせる場で、昼食にパンや飲み物などの軽食を無料で提供している。
 子ども自身に料理の力を付ける取り組みも。東京都足立区は、共働き家庭などの小学生が通う学童保育で、おにぎりとみそ汁を作る料理教室を開いている。馬場優子こころとからだの健康づくり課長は「親はもちろん子どもも簡単な食事を自分で用意できるようになれば、給食のない長期休暇を乗り切る力にもなる」と話す。

◆給食ない日「栄養格差」
独立行政法人日本スポーツ振興センター」が、給食のある日とない日の子どもの栄養状況を比較した二〇一〇年度の調査では、給食からビタミンやミネラル、食物繊維を多く摂取し、給食のない日の昼食からは食塩を過剰に取っていた。
新潟県立大の村山伸子教授(公衆栄養学)らの研究によると、給食のない週末、低所得層の子どもは、中所得層の子どもより野菜や魚介類などを食べる量が少なく、タンパク質などの栄養素の摂取量でも格差が広がっているという。
村山教授は夏休み中の各地の取り組みについて「子どもが『食事は楽しい』と良いイメージを持てる意義が大きい。自分の食を豊かにしようとする意欲や行動につながる」と評価している。