https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20200310/KP200309ETI090004000.php
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新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う一斉休校で、学校給食がなくなった子どもたちの食をどう支えるか。休校を要請した政府が具体策を示さない中、各地で試行錯誤が続いている。
栄養バランスの良い食事は、子どもの体づくりに欠かせない。ひとり親や生活に困窮している家庭にとって、給食は子どもを育てるための命綱だ。
仕事が遅くて買い物ができない人や、収入が減る人もいる。子どもに影響が及ばないようにしなければならない。
大半の県内小中高校は休校が始まって1週間がたった。地域の現状を把握し、食を支える仕組みを考える必要はないか。
安倍晋三首相は7日の会合で、学校給食休止の影響に配慮し細かい支援を行う考えを表明している。子どもを育てる視点を持った具体策を示してほしい。
無料や低額で食事を提供する全国の「こども食堂」も、感染防止のため休止が相次いでいる。
信州こども食堂ネットワークによると、県内でも感染者の確認を受けて85カ所の大半で3月いっぱいの活動休止に踏み切った。
ただ「こんな時だからこそ開いてほしい」といった要望が強く、一部で再開したり、生活用品や食材を安価で販売する機会を設けたりしているという。
県外では見守りを兼ねた弁当の配食に切り替えた事例もある。沖縄県は、弁当を子どもに届ける活動に対し助成を始めた。
福祉施設に食材を無償提供するフードバンクは、ひとり親世帯への直接支援に乗り出している。
全国で給食に代わる手だてが求められているのは明らかだ。
使われなくなった給食用食材を有効活用する動きも広がる。
鳥取市は、生活困窮世帯を対象に食材の無償提供を始めた。ふるさと納税の寄付者への返礼品に、給食関連事業者の食材を充てる取り組みも始まっている。
一方で、活動には人手も資金も足りない状況だ。個人や団体に頼り、地域に温度差もある。
活動の現場と団体、自治体、国とをつなぐネットワークをつくり情報を広く共有したい。被災地のボランティアセンターのような、現場の問題解決に向けて調整役を果たす拠点もできないか。
現場を担う団体や住民は、行動が制限される中、知恵を絞って取り組んでいる。
県や市町村は、地域の具体的な動きを後押しし、政府にも対策を求めてほしい。