心の病で労災 498件過去最悪 過労自殺、未遂含め84件 - 東京新聞(2017年7月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017070102000125.html
https://megalodon.jp/2017-0701-1014-00/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017070102000125.html

厚生労働省は三十日、仕事が原因でうつ病などの精神疾患にかかり、二〇一六年度に労災認定されたのは四百九十八件で、一九八三年度の調査開始以降、最多だったと発表した。このうち過労自殺(未遂含む)は八十四件。仕事による脳・心臓疾患の労災認定は二百六十件で、うち死亡したケース(過労死)は百七件だった。過労自殺には、昨年九月に労災認定された電通の高橋まつりさん=当時(24)=も含まれる。
精神疾患の労災申請件数も最多の千五百八十六件になった。厚労省の担当者は「電通事件を機に、業務上の精神疾患も労災の対象になることが広く知られるようになり、申請者が増えたのではないか」と分析している。
労災認定の内訳は、精神疾患の原因で「嫌がらせやいじめ、暴行」が七十四件と最多。「仕事内容や量の変化」が六十三件、「二週間以上にわたる連続勤務」も四十七件あった。年代別では、四十代が百四十四件と最も多かった。
脳・心臓疾患は月八十時間以上の残業が大半で、百六十時間以上も十七件あった。働き方改革の実行計画では、残業の上限を「月百時間未満、二〜六カ月平均で八十時間以内」としているが、八十時間未満で労災認定されたケースが十四件あった。
厚労省裁量労働制の対象で労災認定された数字も初めて公表。一一〜一六年度の六年で六十一件になり、うち過労死や自殺(未遂含む)は十三件あった。

長時間労働が心追い詰める 高橋まつりさん母
過労自殺した電通社員高橋まつりさんの母幸美(ゆきみ)さんは、弁護士を通じてコメントを出した。全文は次の通り。
これほど多くの人が仕事が原因で命を落としたり、健康を損ねてしまったという事実は本当に悲しいことです。大切な家族を亡くした悲しみは決して癒えることはありません。
労災認定された人たちは原因がわかっています。
労働現場での重大な事故の後ろには多くのヒヤリハットがあり、それを見過ごすことなく改善策をとり、同じ様な事故を未然に防ぐことができるでしょう。
同じように、長時間労働という過重労働の中では、身体も精神も追い詰められ死の危険があることもわかっています。この長時間労働という原因をなくすことで大切な命や健康を守ることができます。
これ以上、頑張って生きている人の夢、希望、人生、命を奪わないで欲(ほ)しいと、強く願います。