徹夜、最後は数の力 与党議員にヤジ「後世に残る汚点」 - 朝日新聞デジタル(2017年6月15日)

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共謀罪」法案をめぐる国会での与野党攻防は15日朝まで続いた。民進党など野党4党は14日夜、衆院安倍内閣への不信任決議案を提出して対抗。しかし、衆参で圧倒的多数を握る自民、公明の両与党が数の力で押し切り、参院本会議で異例の「中間報告」による決着になだれ込んだ。
「民主主義を否定するまれにみる暴挙だ。看過することはできない」。日付をまたいだ15日午前0時すぎ。拍手とヤジで騒然とする衆院本会議で、民進安住淳・代表代行は、不信任決議案の提案理由を30分間にわたって述べた。「共謀罪」法案の採決強行に加え、「森友学園」への国有地売却問題や「加計学園」の獣医学部新設問題をめぐる疑惑を挙げ、安倍政権への批判を展開した。
自民の西村康稔・総裁特別補佐は「与党が十分な審議を積み重ねていこうとしていた矢先、野党自らが委員会の審議を止めた」と「否決」を呼びかけた。記名投票が続く中、国会の外では、市民団体が「共謀罪は絶対いらない」などと訴える声が響いた。
午前2時前、不信任決議案は与党や日本維新の会などの反対多数で否決。安倍晋三首相が壇上で立ち上がり一礼すると、与党席から拍手がわいた。
自民の二階俊博幹事長は決議案の否決後、参院幹部のもとを訪れ「最後まで自民党らしく頑張っていただきたい」と激励。一方、民進山井和則国対委員長は「安倍政権は国会の歴史に大きな大きな汚点を残した」と断じた。
午前2時半から、共謀罪法案をめぐる参院本会議が断続的に開会。民進党蓮舫代表は反対討論で「この法案は、まだ犯罪に着手していない国民を刑務所に入れることができる。審議は全く不十分だ」と指摘した。
午前4時に空が白み始めた。すぐに法案の審議に入るよう求める動議への投票が始まると、与党議員に「後世に残る汚点だ」とのヤジが浴びせかけられる。議場後方に座るベテランたちはうなだれたように座っていた。
午前7時10分過ぎからの採決では、自由、社民の青木愛▽木戸口英司▽福島瑞穂又市征治森ゆうこ山本太郎の6氏と、参院会派「沖縄の風」の糸数慶子氏の計7議員が「牛歩」で臨んだ。伊達忠一議長が投票時間を制限し、「速やかに投票を願います」と要請。約30分後、開票結果が発表され、賛成165票、反対70票で共謀罪法が可決、成立した。牛歩の7議員のうち、3議員は制限時間を超えたとして「投票せず」の扱いとされた。投票箱に自ら積んだ反対票は、結果に加えられなかった。