「共謀罪」四コマ漫画 SNSで拡散、18万人以上閲覧 - 朝日新聞(2017年6月9日)

http://www.asahi.com/articles/ASK6305WCK62OIPE02Q.html
https://megalodon.jp/2017-0609-1011-15/www.asahi.com/articles/ASK6305WCK62OIPE02Q.html


共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案を4コマ漫画にして、インターネット上で公開した漫画家がいる。作品は反響を呼び、SNSを通じて拡散されている。「無関係、無関心と思う人も共謀罪の問題点に気づいて」。そんな作者の思いが、4コマに込められている。
作者は、ぼうごなつこさん(43)。横浜市に住む漫画家兼イラストレーターだ。
作品は、菅義偉官房長官と一般市民が想像する「共謀罪」の適用対象に違いがあるのではないか――という見立てで描かれている。
法案審議では一般市民が捜査対象になるかどうかが焦点の一つになっているが、摘発要件とされる「組織的犯罪集団」などの定義のあいまいさが指摘されている。漫画では安倍晋三首相に「誰が一般人かは私たちが決めます」と語らせた。
漫画ができたのは、菅官房長官が記者会見で共謀罪を取り上げた1月。「政府が検討しているのはテロ等準備罪」「一般の方々が対象になることはあり得ない」と発言したことを受けて、描いた。
自分のブログで公開すると、ツイッターなどのSNSで紹介されていった。ぼうごさんによると、自分でも1〜4月に13回、ツイッターでこの漫画を紹介する投稿をすると、延べ計18万人以上が見たという。
ぼうごさんは「共謀罪は何をしたら罪になるのかわからない。おかしいと思うことに、黙ってはいられなかった」と、描いた動機を話す。
元々、政治への関心は薄かった。政治漫画を描き出したのは知り合いの勧めで2009年ごろから。自分のブログやSNSで発信した。「おもしろいと言われ、『フォロワーが増えるかな』とか、気楽なノリだった」と振り返る。
しかし、第2次安倍政権の発足後は、軽い意識ではなくなっていった。政権復帰前に発表し、「国防軍」の保持をうたった自民党憲法改正草案に不安を抱き、経済産業省の敷地内にあった脱原発デモ参加者のテントの撤去に憤りを感じた。特定秘密保護法や安全保障法制での採決強行からは「市民が異論を言いにくい雰囲気」を感じるようにもなった。漫画で訴えたいことは増えていった。
特定秘密保護法案を審議している国会の様子も漫画にした。当時の担当相も「一般人が特定秘密と知らずに情報に接しても処罰されない」と国会で答えていたが、今の「共謀罪」についての政府の説明と重なるものを感じる。「共謀罪と同じで一般人は誰なのか。これからも問題点を指摘しないといけない」。そんな思いから、今までの漫画はブログで閲覧できるようにしている。
共謀罪」法案は衆院で採決が強行され、参院で審議が続く。「まともに答弁しないなど、漫画にしなきゃと思うことは多い。ネタが尽きる方が私にはハッピーだけど、それまで漫画は描き続けるしかないかな」(後藤隆之)