「共謀罪」対象犯罪 衆院事務局調査「316」 政府「277」と相違 - 東京新聞(2017年4月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017041802000103.html
http://megalodon.jp/2017-0418-0908-44/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017041802000103.html


犯罪に合意することを処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案で、政府が「二百七十七」と説明している対象犯罪の数が衆院事務局の調査では「三百十六」に上ることが分かった。金田勝年法相は、十七日の衆院決算行政監視委員会で「数え方に一定のルールはない」と説明。野党からは「ルールがない数え方で絞ったというのは非常に問題だ」との批判が上がった。(山田祐一郎、我那覇圭、岡本太) 
民進党山尾志桜里(しおり)氏が、二百七十七の対象犯罪数の根拠をただした。山尾氏は、今国会で衆院事務局がまとめた資料で「共謀罪」の対象犯罪が三百十六に上ると指摘。政府が説明する二百七十七の対象犯罪とは計上方法が異なり、犯罪数が三十九多かった。資料は、二〇〇五年に国会提出された共謀罪法案で法務省から提供された資料を参考に作成された。
例えば、衆院の資料では刑法の「激発物破裂」は「現住建造物等損壊」「非現住建造物等損壊」「建造物等以外損壊」の三つが個別の対象犯罪となっているが、政府は今回、三つをまとめて一つの対象犯罪とした。このほかにも「電汽車往来危険」「艦船往来危険」を、政府は「往来危険」として一つで計上している。山尾氏は「数字ありきで三百以下に抑えたのだとしたら、国民に対して大変失礼ではないか」と批判した。
政府は国際組織犯罪防止条約締結のために、法定刑が死刑や四年以上の懲役・禁錮の罪の共謀罪の創設が必要だと説明してきた。〇五年四月時点のこの対象犯罪数は六百十九だった。政府は今回、この犯罪数を六百七十六と説明しているが、今回の衆院の資料では八百四十一(今年二月現在)だったことも判明した。

◆野党議員の質問に「細部は官僚呼んで」 
金田勝年法相は十七日の衆院決算行政監視委員会で、「共謀罪」法案の対象犯罪の数について「数え方に一定のルールはない」との見解を示した。一方で、野党議員の突っ込んだ質問に対しては、政府参考人の法務官僚に答弁させるよう求める場面があった。
金田氏は、個々の対象犯罪を選定した理由を民進党山尾志桜里氏に問われ、「細部のことは法案作成に携わった政府参考人も(審議に)呼んでほしい」と述べた。
法案提出前に「成案を得てから説明する」と答弁を先送りしていた四十項目に関しては「今からでも法務委員会で質問してください。直ちにお答えする」と強調。その上で「具体的な質問通告はいただいていない」「通告は分かりやすくお願いしたい」などと質問者に注文を付け、踏み込んだ説明は避けた。
これに対し、山尾氏は「しっかりした答弁が出てこないのが議論を混乱させる最大の原因だ」と批判した。
金田氏は二月、共謀罪を巡り「法案ができた後に専門的知識のある法務省刑事局長も加わって充実した議論」をするよう求める文書を報道機関に配布し、野党から批判されて撤回した経緯がある。 (横山大輔)