森友関連質問を封じる「強行採決」の異常事態 法案と関係ない質問をしたら審議十分なのか - 東洋経済オンライン(2017年4月13日)

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前代未聞の「採決無効の申し入れ」となった。4月12日の衆議院厚生労働委員会での出来事だ。審議されていたのは介護保険関連法の改正。改正のポイントは、現役並みの所得がある高齢者が介護サービスを利用する際の自己負担比率を現行の2割から3割に引き上げることだ。

この日の厚労委員会では審議のみで、採決は14日に行われることが内々に決まっていた。野党に割り当てられた質問時間は1時間半で、当初の1時間より30分間増やされた。というのも、2時間の質問時間を求めた民進党らに対し、自民党が譲った結果になったからだ。ここまでは両党ともに熟議を求める姿勢に変わりない。

「法案以外の質問をするということは審議が十分」

ところが民進党柚木道義衆議院議員が、質問の冒頭で森友学園問題について言及したことで、問題は発生した。柚木氏はNHK世論調査のデータを基に、国民の約8割が政府の説明に納得していないこと、安倍昭恵夫人や迫田英典前理財局長の証人喚問が必要とする回答が不要とする回答の約2倍に上っていることを指摘し、昭恵夫人と迫田氏が公の場で説明するように安倍晋三首相に求めたのだ。

これに対して自民党は激しく反発。途中で審議をやめたうえ、午後には強行採決に踏み切った。

その理由は柚木氏の発言が「発言は、すべて議題外に渉り又はその範囲を超えてはならない」と規定する衆議院規則第134条違反であるとともに、自民党が「法案以外の質問をするということは、審議が十分だということで、採決しても構わない」と判断したためだ。また11日午後に開かれた理事懇談会で、自民党民進党に事前に「法案以外の質問はしないでくれ」と申し入れてもいた。

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刑法の公用文書等毀棄罪に該当か

「交渉記録の破棄をもし故意にやっていたとしたら、刑法の公用文書等毀棄罪に該当する。仮に故意でないとしても、公用文書管理法違反になることは間違いない。重い犯罪だ」

「意思形成過程の文書をちゃんと残そうという認識が、政府全体で欠けていると思う。はっきりいって理財局長などは、クビが飛ぶ問題だ」

このように主張する三宅氏の国会招致については、週末の7日午後に本人の承諾を取り付け、自民党の筆頭理事である後藤田正純衆議院議員民進党の筆頭理事である石関貴史衆議院議員も合意していた。

ところが同日夜になって、後藤田理事から石関理事に電話で「三宅氏の招致は不可能になった」と連絡が入ったのだ。その理由は「そのようなものは内閣委員会でやるべきもので、決算行政監視委員会には適さない」というものだった。

自民党国対からもたらされたこの返答がいかに奇妙なものなのかは、次の民進党関係者の言葉から明らかだ。

「そもそも同委員会第1分科会は会計検査院や内閣、内閣府が所轄する事項について議論するところだから、三宅氏を招致するのにまさにぴったりの場。それを否定するのは無茶としか思えないが、これもまた官邸の意向を忖度しているのではないか」

森友学園問題はさまざまなところで国会の審議に影響を与え、その原則さえも曲げている。この問題をしつこく追及する民進党の姿勢に対する批判も根強いのだが、安倍首相がひとつの決断さえすれば解決に向かうという事実を忘れてはならないだろう。