財務省、教育国債を警戒 与野党が創設案 麻生太郎氏「償還財源ない」 - 産経ニュース(2017年2月21日)

http://www.sankei.com/life/news/170221/lif1702210052-n1.html
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大学の授業料免除など教育無償化の実現に向け、与野党が「教育国債」を創設して財源を確保する検討を始め、財務省が警戒を強めている。国債を増発すれば将来世代の負担が増えかねないとみているためだ。教育無償化は安倍晋三首相が意欲をみせているが、憲法改正とからみ、政治的な駆け引きの材料になる懸念もある。
21日に開かれた衆院予算委員会公聴会では、日本維新の会伊東信久氏が、教育無償化の財源捻出について「行財政改革と教育国債を2本立てで考えたい」と発言。一方、東大大学総合教育研究センターの小林雅之教授は高等教育無償化について、「すべての人が高等教育に進むわけではなく、公平性の問題が残る」と述べた。
教育国債は、インフラなど公共事業に使い道を限定する建設国債のような仕組みが想定される。教育に限って国債を発行し、大学授業料などの財源を賄う方式だ。
自民党は2月、教育無償化の財源を議論する特命チームを立ち上げた。教育国債の新設などについて検討し、6月をめどに提言をまとめる方針。民進党も、同じような「子ども国債」を訴えてきた経緯がある。
ただ、国債発行を管理する政府は慎重だ。麻生太郎財務相は「償還財源がないのに国債を発行することになる」と批判。高等教育向け支出は増えており、財務省幹部は「他の支出を削って賄うべきだ」と話す。
日本の歳出は医療や介護など社会保障費が多くの割合を占める。教育無償化が叫ばれる背景には、教育向け予算が少ないとの子育て世帯の根強い不満がある。
維新や自民には憲法改正で高等教育の無償化を盛り込むべきだとの声があり、改憲論議に左右される可能性もある。(中村智隆)