地下水管理も採水も請け負い 豊洲市場“猛毒”の黒幕を直撃 - 日刊ゲンダイDIGITAL(2017年1月18日)

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豊洲市場の地下水モニタリング調査の最終結果で猛毒が検出された問題。市場の安全性を追及してきた共産党都議団は16日、小池都知事と都議会に市場をめぐる汚染状況の全面調査や特別委員会の開催を申し入れた。そこで浮上しているのが、“お手盛り”調査疑惑だ。
地下水管理システムの設計や運転保守などを請け負ったのは、新宿区に本社を置く非上場企業の「日水コン」。都は2012年8月に行った入札で、システムなどの設計業務を3750万円で発注。日水コンは15年6月に工事に入り、16年10月に竣工した。
問題は、日水コンが1回目から3回目までの「地下水調査」も担当していたことだ。地下水を「管理する会社」と安全性を調べるために「水を採取する会社」が同じでは、信頼性を担保できないだろう。
共産党が問題視しているのも、この部分だ。渦中の「日水コン」に異常数値に関する見解を問うと、総務部長がこう答えた。
■「付き合いでやらされた」
――まず、採水を担当した経緯は?
都から井戸水の取り方が分かる業者がいないと言われ、しょうがないから(契約を)取ったと聞いています。
――しょうがないから取った? どういうことですか?
(発注)金額が安かった(から積極的に受注しようとする業者がいなかった)んじゃないですか。安い金額で落札したと聞きましたから。あんまりやりたくなかったと。付き合いでやらされたと。都がまず(入札)参加メンバーを選定し、その中で競争させた。都から「おたくしか考えられないなあ」と言われて。今となってはいいのか悪いのか。
――有害物質の検出数値が跳ね上がったのは、地下水管理システムの稼働が影響しているとの見方があります。
地下水管理システムは16年8月に試験稼働して、本格稼働させたのが10月。地下水調査に影響したのだとすれば、(前回の)11月の調査にも影響したのでは?
――共産党都議団は特別委員会を開き、貴社に説明を求める方針です。
契約書でもそのほかのことでも、説明が必要ならいくらでも応じますが、これ以上何を説明しろというんですか。一切やましいことはない。
ちなみに、都の公表資料によると、8回目調査の採水期間は16年9月5日から10月3日まで。地下水管理システムが本格稼働する前だ。共産党都議団によると、日水コンは運転保守などの11件の業務委託で、都と総額3億570万円の大型契約を結んでいるという。
共産党の曽根はじめ都議は言う。
「地下水管理システムとモニタリング調査は別個の問題だが、業者が同じである以上、場合によってはリンクしている可能性も考えられます。全面的な検証が必要です。そもそも、地下水管理システムの設計不備の懸念も高まっている。40ヘクタールもの広大な土地に引かれた用水路は58本だけ。どの専門家に尋ねても、これで水位を海抜1・8メートルに制御するのは不可能だと一蹴されます」
都議会で決着をつけるのが筋だ。