<大人って…成人年齢引き下げ>18、19歳のホンネトーク (上)理想のオトナは?:千葉 - 東京新聞(2017年1月1日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201701/CK2017010102000122.html
http://megalodon.jp/2017-0102-1020-06/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201701/CK2017010102000122.html


「大人」の定義が変わろうとしている。政府は、明治以来、二十歳としてきた民法成人年齢を十八歳に引き下げる民法改正案を、通常国会に提出する見通しだ。公職選挙法は昨年、一足先に選挙権年齢を十八歳以上とした。十八、十九歳は「大人」について何を思うのか。ホンネに耳を傾けてみた。
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十八、十九歳が「大人」に仲間入りする民法改正案の是非から座談会の議論は始まった。
改正されれば、十八歳でも自分の判断でローンやクレジットカードなどの契約ができるようになる。一方、トラブルに巻き込まれても未成年を理由に取り消せなくなる可能性もある。
大学一年の葛巻朱里(くずまきあかり)さん(18)は「高校卒業直後はまだ経験不足。契約にまつわるプラスとマイナスの両面を大学や両親から学ぶなど、大人への準備時間が必要」と語り、二十歳成人の維持を求める。
高校三年の鎌田麻里さん(18)は、たばこや酒の十八歳解禁に反対する。「トラブルが増えそう。コントロールできないものは二十歳からでいい」
二人は選挙権年齢の引き下げは歓迎する。昨年七月の参院選で投票デビューを果たした葛巻さんは「十八歳成人とは別の話。自分の意見を表明できるので(十八歳選挙権は)うれしい」との意見だ。鎌田さんは参院選時点では選挙権はなかったが、「少子高齢化で若者の意見が反映されにくくなる中、(十八歳選挙権で)政治に興味を持ち、調べるきっかけになった」と話す。
若者の政治への関心は、決して低くはない。県選挙管理委員会によると、昨年の参院選で投票した十八、十九歳の投票率は49・89%。うち十八歳は53・92%で県全体の52・02%を上回った。
若者はどういう人を「大人」とみるのか。ご当地アイドルの「りなたん」(19)は「(生活費は)まだ全部親が支払っている。初任給をもらえたら大人と思う」と考える。鎌田さんも「自分でお金を稼ぎ、生活できる人が大人」と語る。二人は、大人の条件を経済的自立とみているようだ。
大学一年の山内寛也さん(18)は「周囲から尊敬されている人が大人と思う。仮に四十歳になっても、下(の世代)から評価されなければ大人ではない」との意見だ。
司会の千葉商科大専任講師の常見陽平さん(42)はこの意見が響いたようで、「上(の世代)がつかえていて、自分も四十二歳だけど、まだ若手と言われる」と笑った。
「憧れの大人」も尋ねてみた。鎌田さんは、日本人最年少で世界七大陸の最高峰登頂に成功した南谷真鈴(みなみやまりん)さん(20)を挙げた。「年齢も近い。常に挑戦する姿勢が大切。まねしたい」
他の三人は身近な人を選んだ。「写真部の先輩」と答えた山内さんは「仕事と趣味を両立している。自分もそんな大人になるのが理想」。「りなたん」は「ママ。中学高校でいじめられた時、誰にも相談できないのに気づいてくれ、守ってくれた」。葛巻さんは「両親があこがれ。励ましてくれて自分を強くしてくれた」と答えた。
全国大学生活協同組合連合会の「2014年大学生の意識調査」によると、85%の大学生が「高校までの友人と今も交友が続く」と回答。身近な人間関係を大切にし、維持する傾向があるという。山内さんも「バレーボール部で一緒だった中学の友だちは気が合う」と語った。
若者の「つながり」を大切にする思いは共感する歌からもうかがえる。「りなたん」は、歌手の絢香さんが身近な人への感謝をうたう「ありがとうの輪」を挙げ、「友だちや母親への気持ちに泣いた」と話す。
常見さんは「支えてくれる人がほしい、今までの歩みを否定されたくない思いから共感するのだろう」と指摘している。