「容疑者殺害」発言を国連が捜査要求 ドゥテルテ氏反発、強気の姿勢崩さず - 東京新聞(2016年12月27日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201612/CK2016122702000141.html
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バンコク=山上隆之】フィリピン南部のダバオ市長時代に自ら犯罪容疑者を殺害した、と発言したドゥテルテ大統領に非難の声が広がっている。国連はドゥテルテ氏を殺人容疑で捜査するようフィリピンの司法当局に要求。だが、ドゥテルテ氏は国連に「指図をするな」と反発し、強気の姿勢を崩していない。
国連のザイド人権高等弁務官は二十日、声明で「ドゥテルテ氏本人も認めているように、市長時代の行為は殺人にほかならない」と指摘。「司法当局は法の順守や行政機関からの独立を示すためにも、捜査を開始しなければならない」と促した。
これに対して、ドゥテルテ氏は二十二日の演説で、ザイド氏を「ばか」呼ばわりするなど暴言を連発。現地メディアによれば「国連職員の給料は私たちが払っている。私は雇い主なんだから、従業員は黙っていてください」と語った。
AFP通信などによると、ドゥテルテ氏の発言は十二日夜、首都マニラでの企業関係者向けスピーチで飛び出した。ダバオ市長時代に容疑者を自ら殺害し、「警察に手本を示すためだった」と語った。大統領周辺は「正当な警察活動の一環だった」と弁明している。
ドゥテルテ氏は大統領就任以来の強権的な麻薬撲滅対策も手を緩める気配はない。警察当局の発表では、既に警察が約二千人を殺害し、四千人近くが自警団などによって殺されている。
これに関連して、米グラミー賞受賞の歌手ジェームス・テイラーさん(68)は、来年二月にマニラで予定していたコンサートを中止すると発表。自身のフェイスブックで「司法手続きを踏まずに容疑者を殺害するというやり方は、法の支配を愛する者にとって容認できない」と批判した。