http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201611/CK2016111702000259.html
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米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)周辺の住民ら約三千四百人が米軍機の騒音で健康を害したとして、騒音差し止めや約百億円の損害賠償などを国に求めた第二次普天間爆音訴訟の判決で、那覇地裁沖縄支部(藤倉徹也裁判長)は十七日、「違法な被害が漫然と放置されている」として、住民ら三千三百九十五人に対して約二十四億五千八百万円を賠償するよう国に命じた。飛行禁止に当たる騒音差し止めなどの請求はいずれも退けた。
住民側は飛行差し止めが認められなかった点を不服として控訴する方針。
判決は、騒音による睡眠妨害や日常生活の支障など、精神的苦痛や健康上の悪影響を認定。ヘリコプターの低周波音についても同様に被害を認めたが、オスプレイ配備によって増大したとは言えないとした。
その上で「一九七〇年代ごろには普天間飛行場の騒音が社会問題となっていたにもかかわらず、今日まで抜本的な防止策は採られず、国は被害を漫然と放置している」と述べた。
賠償額は、騒音レベルの指標「うるささ指数(W値)」が七五以上の地域に住む原告には一カ月当たり七千円、同八〇以上の場合は月一万三千円で算出した。第一次訴訟の二審判決と比べ、それぞれ月額千円ずつ増額した。
住民側が求めていた夜間・早朝は四〇デシベル、昼間は六五デシベルを超える騒音の差し止めについては「国は米軍機の運航を規制できる立場にはない」として退けた。
住民側は、日米両政府が結んだ普天間飛行場の提供協定は無効で、国が騒音を放置した状態が違憲であることの確認も求めていたが、不適法として却下した。
菅義偉(すがよしひで)官房長官は十七日の記者会見で「国の主張について十分な理解が得られなかった。関係省庁で調整の上、適切に対応していく」と述べた。
第一次訴訟では、周辺住民約三百九十人に約三億六千九百万円を支払うよう国に命じた二審判決が確定したが、米軍機の飛行差し止めは認められなかった。
昨年六月には、爆音訴訟に参加していない約二千二百人が普天間飛行場の騒音被害を訴えた訴訟で、国に約七億五千四百万円の賠償を命じる地裁支部判決が出ている。