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家具ががたがたと音を立てて揺れる。バタバタという低い音が耳の奥に響く。中城村南上原の自宅は午後10時を過ぎても米軍機が低空を飛行する。CH53大型輸送ヘリやオスプレイなどだ
▼2歳の息子は空に小さな機影を見つけると「飛行機!」と指さす。しかし、緑ヶ丘保育園や普天間第二小学校の事故を思い出すと、笑顔で応じられない。洋上から接近するヘリは崖の上にある集落の上を驚くほど低空で飛び、普天間飛行場に戻っていく
▼第3次普天間爆音訴訟が提起される。国が指定したうるささ指数(W値)75以上の区域に住む4千人超が原告となった。第1次、2次訴訟と同様に夜間の飛行差し止めなどを求める
▼過去の判決は騒音被害への賠償は認めたが、騒音の原因である米軍機の飛行差し止めは退けた。基地が返還されない限り被害は続くが、損害賠償は過去分のみを認めた。W値のコンター(分布図)外に住む原告への騒音被害も認定していない
▼今回原告となった人々は本紙連載「4千人超の願い」で「孫たちが耳を押さえずに済むような環境を取り戻したい」などと語る。被害救済のために「声を上げ続けないと変わらない」とも
▼沖縄戦と米軍基地建設で土地を奪われた人々。騒音被害や落下物の恐怖にさいなまれる人々。コンター外の住民。原告団の背後には「静かな夜」を願う多くの県民がいる。