http://www.asahi.com/articles/DA3S12612573.html?ref=editorial_backnumber
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民進党にはくみ取るべき民意が見えていないのではないか。新潟県知事選をめぐる一連の対応に、強い疑問を感じる。
共産、社民、自由の野党3党は、現状での東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な泉田裕彦知事の「路線を引き継ぐ」と訴えて当選した米山隆一氏を推薦した。一方、民進党は自主投票とし、参院選以来の野党4党の選挙協力の構図は崩れた。
ところが、朝日新聞の出口調査によると、民進支持層の85%が米山氏に投票していた。民進党の判断と、支持層の思いとの亀裂の深さに驚く。
そもそも民進党は米山氏を次期衆院選新潟5区で公認内定していた。だが知事選出馬が決まった米山氏には推薦を出さなかった。電力総連など連合新潟が米山氏の対立候補を支持しており、党として明確な対応がとれなかったと見られている。
連合は旧民主党時代から民進党を支えた有力な団体だ。7月の参院選比例区で民進党から当選した11人のうち8人が連合の組織内候補で、個人名得票1位は約27万票を得た電力総連出身候補だった。目に見える集票力があり、気を配らざるをえない存在なのだろう。
政党にとって、支持層の期待に背いてでも、自らの政策を貫くべき場面は当然ある。だが脱原発をめぐっては、民進党としての方向性も、支持層の思いも重なっていたはずである。
参院選で民進党が掲げた重点政策は「2030年代原発ゼロに向け、あらゆる政策資源を投入します」と宣言し、こう続けている。「安全確認を得ていないものは再稼働しない、の原則を徹底させます。また、責任ある避難計画がなければ原発を再稼働すべきではありません」
3カ月前のこうした主張はどうなったのか。新潟での対応はわかりにくいし、もし政策より支持労組への配慮が先に立ったとすれば情けない。
民進党の蓮舫代表は「米山氏勝利」の可能性が伝えられた最終盤にようやく応援のため新潟入りした。かろうじて野党共闘に加わった形にしたかったようだが、支持層が求めるのは、そんな政治技術ではないだろう。
朝日新聞の最新の全国世論調査によると、いま停止している原発の運転再開に賛成の人は29%、反対が57%だった。
今回の新潟県知事選は、原発政策が、原発回帰を鮮明にする自民党・安倍政権との対立軸になりうることを教えている。
民進党の「脱原発」は本気なのか。改めて党内で議論し、姿勢を明確にしてもらいたい。