会見要請を辞退された外国特派員協会が安倍政権に困惑 - 週刊朝日(2016年7月14日)

http://dot.asahi.com/wa/2016071300075.html

外国プレスが所属する日本外国特派員協会(FCCJ)が、安倍政権に“困惑”している。
FCCJは参議院選挙前に、6人の自民党幹部へ会見を要請したが、すべて「多忙」を理由に辞退された。14年の衆院選時も同様に自民党から会見を辞退されたという。
70年の実績があるFCCJ史上はじめての事態が続いている」とピーター・ランガン会長は訴える。
以前の自民党では外相、防衛相などの会見は恒例とされ、第2次安倍内閣発足時には、菅義偉官房長官を含む閣僚が会見に応じたこともあった。しかし、最近は、FCCJの要請は繰り返し拒否されているという。なぜなのか?
FCCJ報道企画委員会共同委員長でブルームバーグ・ニュースエディターのアンディ・シャープさんは、臆測は避けたいがと前置きした上で、「14年、拉致問題担当相だった山谷えり子議員の会見が一因ではないか」と話す。
当時、山谷議員の質疑応答の際、外国人特派員らから、本来の目的である拉致問題よりも在日特権を許さない市民の会在特会)との関係について質問が集中したという。
意表を突かれ、質問された山谷議員はしどろもどろの回答に終始。
FCCJ会員の外国人特派員がこう主張する。
「協会主催の会見は、まとまりが悪い、フリーランスの出席も多いため、やりにくいという声がそれ以降、自民党議員から聞こえるようになった」
09年からの民主党政権下では、首相、幹部もFCCJでの会見に応じていた。しかし、安倍首相はこれまで複数回にわたり、協会からの会見要請を辞退している。
自民党以外の政党はいずれもFCCJで記者会見を開催していることから、公正さを欠いているとの批判を受けかねない」と、FCCJは懸念を表明する。
自民党は取材に対し、こう回答した。
「会見を拒んでいるわけではない。最大限努力はしているが、日程上、どうしてもお受けできていない」
鎖国”と外国プレスに批判されないことを祈るばかりだ。(本誌・吉粼洋夫、牧野めぐみ、永井貴子、上田耕司、太田サトル、小泉耕平、松岡かすみ、秦 正理、鳴澤 大/今西憲之、松元千枝)(週刊朝日 2016年7月22日号)