(いま読む日本国憲法)(11)第19条 国は内心に立ち入らず - 東京新聞(2016年5月20日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016052002000202.html
http://megalodon.jp/2016-0522-1022-59/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016052002000202.html

日本国憲法表現の自由や信教の自由など「精神的自由権」と呼ばれる人権を多く定めています。人生観、価値観など心の中のことは外部の干渉を受けないとした一九条は、その根幹と言えます。表現の自由などと区別して、内心の自由を特に規定した憲法は世界的にも少ないそうです。
憲法は「法律ノ範囲内」で言論や集会の自由を認めただけで、思想及び良心の自由は保障しませんでした。結果として思想統制が行われ、国民を苦しめたという反省から、国家は人の内心に立ち入らないという原則を一九条で定めたのです。
具体的には、国家が個人の思想を告白するよう強制したり、交友関係の調査や密告によって思想を調べたりすることを禁じていると解釈されます。
この条文を巡っては「君が代」斉唱時に教職員を起立させる校長の職務命令が違憲かどうかが裁判で争われるなど、多彩な論争が起きています。
思想及び良心の自由について、自民党改憲草案は「侵してはならない」を「保障する」と直しました。表現が弱まったようにも映ります。
また、一九条の二として、個人情報の不当な取得を禁止する条文を新設しました。草案Q&Aでは「プライバシー権の保障に資する」と説明していますが、「何人も」で始まる書きぶりは国民に対する禁止規定であり、新たな権利保障のようには読めません。
権力者にとって都合の悪い情報を国民が集めることを制約することにでもなれば、民主主義の根幹が侵害されます。





自民党改憲草案の関連表記
思想及び良心の自由は、保障する。
何人も、個人に関する情報を不当に取得し、保有し、又は利用してはならない。