特定秘密の検証は困難 指定61件を追加 - 東京新聞(2016年4月27日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201604/CK2016042702000133.html
http://megalodon.jp/2016-0427-1007-00/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201604/CK2016042702000133.html

政府は二十六日、特定秘密保護法について、二〇一五年中の運用状況をまとめた報告書を閣議決定し国会に提出した。同年中に指定した六十一件を含め、一五年末時点の特定秘密は計四百四十三件。初の国会報告となった一四年分と同様、それぞれの秘密の類型しか示さず、指定が適切かどうかを国会や国民が検証するのは困難なままだ。 (関口克己)
一五年中に指定された特定秘密の分野別の内訳は、防衛関連三十九件、外交関連十四件、スパイ防止とテロ防止が各四件。
政府は今回、防衛と外交、スパイ防止、テロ防止の四分野を五十五に分けた類型に、それぞれの特定秘密がどれに当たるかを初めて示した。一四年分の報告に対し、有識者らでつくる情報保全諮問会議が記述の「具体化」を求めたことへの対応。
だが、今回の報告も特定秘密の内容は、国家安全保障会議(NSC)が指定した一件を「開催した会議の議論の結論に関する情報」と記述したほか、「内閣情報調査室の人的情報収集に関する情報」(内閣官房)、「収集した電波情報等の情報」(防衛省)などと具体性を欠くものが目立つ。
秘密の記述については、衆院情報監視審査会が三月三十日に公表した報告書で「具体的にどのような内容の文書が含まれているかがある程度想起されるよう」に求めたばかり。内閣官房は同審査会の報告書は公表から間もなく、審査の対象期間も異なるため反映していないと説明。今後の改善は「検討する」としている。
国会報告によると秘密を扱うのに問題がないかを調べる適性評価を実施した人数は、一五年末時点で九万六千七百十四人。評価を拒否したのは、途中で同意を取り下げた二人を含め計三十八人。プライバシーの侵害を恐れたとみられるが、内閣官房は「理由は不明」とした。評価を受けて不適格とされたのは一人。
特定秘密が記録された行政文書は一五年末時点で二十七万二千二十点。一四年末時点より八万二千八百二十七点増えた。
秘密保護法は政府が特定秘密の指定と解除の状況を毎年一回、国会に報告するよう義務付けており、今回の報告が二回目。