安保廃止法案、審議せず 会期2カ月残し与党決定 - 東京新聞(2016年3月31日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016033102000136.html
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自民、公明両党は三十日、野党が衆院に共同提出した安全保障関連法の廃止法案を今国会で審議入りさせず廃案に持ち込む方針を決めた。安保法施行の翌日に、国会会期末まで二カ月も残しての決断となる。安倍晋三首相は法律について国民に丁寧に説明すると繰り返していたが、違憲性などをめぐる本格的な議論は行われないことになる。 (古田哲也)
自民党谷垣禎一公明党井上義久両幹事長らは三十日、都内で会談。廃止法案について「決着のついた議論を再び蒸し返すだけ」(佐藤勉自民党国対委員長)と、野党側が求める審議に応じない方針を確認した。
他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とした安保法は、多くの憲法学者違憲性を指摘する中、政府・与党が昨年九月に成立に持ち込んだ経緯がある。廃止法案は、民進党に合流する前の民主、維新両党と、共産、社民、生活の計五党が、法律の違憲性などを国会で問い直すために、成立から丸五カ月を迎えた二月十九日に共同提出した。
廃止法案の取り扱いを協議する衆院議院運営委員会理事会では、早期の審議入りを求める野党に対し、与党は回答を保留してきた。安倍首相は、安保法が施行された二十九日の国会で、廃止法案について「廃止すれば日米の同盟の絆は大きく毀損(きそん)される」と表明。首相の意向を受け、与党は審議しないと決めた。
野党側は「安保法の問題点が明らかになり、参院選衆院補選の争点になれば与党が負けるという不安の裏返しだ」(山井和則民進党国対委員長代理)と反発している。
今国会の会期は六月一日までで二カ月残っている。廃止法案は審議入りせず会期末を迎え、継続審議の手続きが行われない場合、廃案となる。