子どもの貧困 15歳だけで損失2.9兆円 日本財団推計 - 東京新聞(2015年12月3日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015120302000259.html
http://megalodon.jp/2015-1203-2059-38/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015120302000259.html

日本財団は三日、貧困家庭の子どもを支援しないで格差を放置すると、現在十五歳の子どもの一学年だけでも、社会が被る経済的損失が約二兆九千億円に達するとの推計を公表した。政府には、約一兆一千億円の財政負担が生じるとしている。
日本財団は「子どもの貧困を放置して生じる経済的な損失は大きい。教育格差の解消に向けて対策を進めるべきだ」としている。
推計は貧困対策を必要としている対象を十五歳の子ども約百二十万人のうち生活保護受給世帯とひとり親家庭児童養護施設にいる約十八万人とした。国などが高校進学率と中退率を全国平均並みに改善させて大学進学率も上げる支援をした場合と、支援しなかった場合を比較、子どもが六十四歳までに得られる所得額の差を算定した。
支援をした場合、六十四歳までの所得が約二十五兆五千億円になるのに対し、支援がないと約二十二兆六千億円にとどまる。進学を促して収入のよい仕事に就くチャンスを広げないと、国内消費の低下をもたらし、社会は差額の約二兆九千億円を失う形になる。少子化が進む中で、現役世代の所得減は経済に与える打撃が大きいとしている。六十四歳までに納める税金などから社会保障給付を差し引いた額は、支援すれば約六兆八千億円となるが、しないと約五兆七千億円に減ってしまう。その差額の約一兆一千億円分が、政府の財政負担となる計算だ。