本当に救国の英雄だったのか?東電・吉田昌郎元所長を「総括」する(黒木 亮さん) - 現代ビジネス(2015年7月22日)

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東京電力福島第一原発の所長だった故・吉田昌郎氏は、官邸にいた東電武黒フェロー(元副社長)からの命令を無視して、独断で原子炉への海水注入を継続し、脚光を浴びた。
親分肌の人柄や、首相や東電本店にも物怖じしない豪胆さも相まって、一躍「英雄」になった。一方で、彼を神格化し、一言半句の批判も許さない国民の熱狂ぶりには違和感を覚えた。
私は、今般上梓した『ザ・原発所長』の中で、彼の生い立ちと人間形成の過程を明らかにし、功罪を論じるための材料を読者に提供したいと考えた。

ザ・原発所長(上)

ザ・原発所長(上)

ザ・原発所長(下)

ザ・原発所長(下)


http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44293?page=3
かつて資源エネルギー庁原子力安全・保安院で統括安全審査官を務めた高島賢二氏は「吉田所長は、本社で津波想定をつぶした一人だ」と明言している(添田孝史著『原発と大津波?警告を葬った人々』pp.128-129)。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44293?page=4
また、吉田調書を読むと、当時は2007年7月の新潟県中越沖地震で損傷を受けた柏崎刈羽原発の修繕費用に約4,000億円、福島の2つの原発の耐震工事にも約1,000億円がかかって、経営陣から風当たりが強く、自分でも「私は結構銭には厳しくて」と発言するなど、コスト管理に厳しかったことが覗われる。
東電の技術者たちの一部からは「亡くなった人を悪く言いたくはないが、安全設計を自分でゆるがせにしておいて、事故が起きたら想定外だと言い逃れ、悲劇のヒーローになっているのは許せない」という声がある。