安保法案と世論 支持急落は国民の警鐘 - 東京新聞(2015年7月22日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015072202000139.html
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報道各社の調査でも、政権へのスタンスに関係なく同様の結果が出ており、安保法案に対する国民の視線は厳しさを増している。
首相は「支持率だけを大切にするなら、こういう法案を通そうとは思わない。支持率だけで政治をやっていない」と述べた。
本当に必要な政策なら、支持率の動向に関係なく、国民を説き伏せてでも実現すべきであることは理解する。
しかし、国民の反対を押し切ってまで、なぜ今、安保法案を成立させる必要があるのか、国民を納得させる明確な説明はない。
憲法解釈を変え、海外での武力の行使に道を開く安保法案の成立を、安倍内閣が強行しようとすることは、憲法が権力を律する立憲主義を揺るがす問題でもある。
本紙のアンケートでは、回答した憲法学者二百四人のうち、約九割に当たる百八十四人が法案を違憲と断じた。
ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英・京大名誉教授ら「安全保障関連法案に反対する学者の会」の約百五十人も二十日に記者会見して廃案を訴えた。賛同する学者、研究者は一万一千人を超えるという。
安保法案をめぐる支持率急落や学究の徒の指摘は政権への警鐘でもある。政権がこれを無視し、参院での法案審議や採決を強引に進めることがあってはならない。