改憲への流れを侮ることなかれ〜「緊急事態条項」の危険に触れながら(小石勝朗「法浪記」) - マガジン9(2015年5月13日)

http://www.magazine9.jp/article/hourouki/19141/

第1の注意点は、大規模な災害時だけでなく、戦争まで視野に入っていること。新しい安全保障法制とリンクしている、と読むこともできる。第2の注意点は、結果として基本的人権を制約する内容であるのに、「基本的人権の制約に歯止めをかけるため」というロジックが用いられていること。そして第3の注意点は、内閣は法律と同一の効力を持つ政令によって、こうした措置をフリーハンドで取れることだ。曲者なのである。
実際に、今年の改憲派集会でマイクを持った自民党国会議員からは、豪雪時に幹線道路に停まったままの車をどかす必要性を引いて「私有財産をなげうってでも守らなければいけない命がある」と、緊急事態条項の制定を求める声が上がっていた。そのくらいなら法律改正で対応できると思うのだが、こうした理屈から導かれること自体、この条項が人権の制限を狙っていることを示唆しているのだろう。

関連サイト)
自民「緊急事態条項新設を」 街頭で訴え- 東京新聞(2015年5月21日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015052102000138.html
http://megalodon.jp/2015-0521-1018-01/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015052102000138.html