安保法制関連法案の閣議決定について(2015年5月4日 16:30の松田代表記者会見より抜粋)-BLOGOS(2015年5月15日)

http://blogos.com/outline/112139/

昨日、政府は臨時閣議を開き、集団的自衛権の行使を可能にすることなどを盛り込んだ安全保障法制の関連法案を閣議決定しました。
法案は、「国際平和支援法案」と「平和安全法制整備法案」の2本です。
今後、徹底的に国会で審議する必要がありますが、自衛隊法など10本もの法律改正を1つの法案に無理やり押し込んでくるようなやり方には非常に大きな問題を感じています。
....

本日国会へ提出の安全保障法制関連法案は、11本もの膨大な法案からなりますが、いずれも重要なものばかりです。憲法9条と密接に関連するきわめて大切なものも含まれています。しかしながら、これらを一括審議し、2,3か月の国会延長で成立させようとするのは、あまりにも拙速すぎるのではないでしょうか。
法案が複雑に入り組んでいるため、国会議員でさえ理解が難しいなか、国民の理解がどの程度進むのか、非常に疑問です。
いくつか主なものを取り上げさせていただきますと:

新法の【国際平和支援法案】は、他国軍の戦闘を支援するために自衛隊を随時派遣できるようにする「恒久法」です。なぜ特措法ではだめなのか、事前の国会承認による歯止めがしっかりと機能するのか、検討しなくてはならない点が多々あります。
【武力攻撃事態法】の改正案は、他国を武力で守る集団的自衛権を行使できるようにする重要法案です。集団的自衛権の行使要件が明記されるとのことですが、その三要件にしても詳細に議論をし、憲法9条をどのように改正するのかも念頭に、十分に時間をかけて議論する必要があります。来年夏の参院選後には初の憲法改正国民投票が行われるとの話も出ておりますが、それも視野に入れて慎重に議論するべきです。
【周辺事態法】は、【重要影響事態法】へとの法律名変更も伴う抜本的な改正がされようとしています。もともとは、朝鮮半島有事などを想定し、日本周辺で米軍のみを支援する内容だったものが、改正後には地理的な制約がなくなり、米軍以外の軍隊を支援することも可能となるのです。一昨日も米政府当局者が、「米国防総省が中国の埋め立てなどの動きが活発化している南シナ海南沙諸島周辺に米軍の航空機と艦船を派遣することを進めている」と発表していましたが、「日本の安全確保」という目的を達成するためにどこまで自衛隊を派遣できるのか、自衛隊員への危険が不合理に増大しないのかなど、十分に審議しなくてはなりません。
PKO協力法】の改正は、PKO以外にも自衛隊による海外での復興支援等を可能とするものです。武器使用の点以外にも、どこまで自衛隊の活動を広げることを認めるのか、治安維持活動まで認めるのかなど、慎重に判断しなくてはいけません。
自衛隊法】の改正は、在外邦人の救出や米艦防護を可能にするものです。具体的に想定されるケースはどのようなものなのか、平時に日本の防衛のために活動する米軍や他国軍の武器等を防護するための武器使用を認めることにどのようなリスクがあるのかなど、議論すべき点が多数あります。

以上、いくつかの概略を述べさせて頂きましたが、ほんの一部を聞いて頂いただけでも、熟議しなくてはいけないものがどれだけ広範囲に及ぶかという事を皆様にも感じ取って頂けたのではないかと思います。
(その他、【船舶検査法】、【米軍行動円滑化法】、【海上輸送規制法】、【捕虜取り扱い法】、【特定公共施設利用法】、【国家安全保障会議NSC)設置法】の改正もあります)