<防衛省設置法で議論に> 憲法から見た「文民統制」と「文官統制」 首都大学東京准教授・木村草太さん-THE PAGE(2015年3月6日 )

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そこで、現在の法律では、内閣が自衛隊を指揮・運用する場合には、防衛省の官房長や局長、事務次官など、官僚の補佐を受けるルールになっている。専門知識を持つ「文官」に補佐してもらうことで、文民統制を実のあるものにしていこうという考え方である。これが、「文官統制」と呼ばれる仕組みである。

現在、政府は、この文官統制の仕組みを廃止して、文官の補佐なしに、大臣と自衛官のみで直接コミュニケーション可能な仕組みを作ろうとしている。もちろん、そうしたとしても、自衛隊の最高司令官は内閣総理大臣であり、憲法の要求する文民統制に明らかに反し違憲だとは言いがたい。

しかし、自衛隊の運用は、外交関係、政府の予算、国民生活に大きな影響を与える。文官統制をやめることで諸外国に不信感を与えないか、「文官」の補佐がなくても「文民」が適切な判断をできるのか、意思決定の合理性を十分に国民に説明できるのか、憲法文民統制を定めた趣旨に照らし、慎重に検討すべきであろう。国民は、政府の説明に注意深く耳を傾けていかねばならない。